ファンケルが発見!! 老化は「治る」時代に!? 植物由来の成分に老化細胞を除去する作用が
老化は誰にでも訪れる自然現象で、決して避けられないーー。そんな常識が覆されつつある。
現代の医科学では「老化は病の一種であり、抑制や改善ができる」と考えられているのだ。
イーロン・マスクらが出資するXプライズ財団は「1年以内の治療で筋力、認知力、免疫を10〜20歳若返らせる」ことを目標とした世界的コンペを実施。その賞金総額1億1000万ドルであることからも、彼らの本気度が伝わってくる。
では、「老化を治す」方法は存在するのだろうか。その可能性を示す研究成果が発表された。
「老化」の正体
老化とは、加齢とともに身体機能が衰える現象のことだ。
それによって遺伝的要因やストレスへの対応力が低下し、病気などになりやすくなる。しかし、同じ年齢の人を並べてみればわかるように、老化の速度は人によって異なる。実際にニュージーランドで行われたダニーデン研究によれば、老化の速度は1年間で0.4歳から2.44歳と大きな差があったという。
ファンケルはこうした点に着目し、加齢研究を進めてきた。
同社の総合研究所・機能性食品研究所の寺本祐之氏は、老化について意外な事実を紹介した。
「ある研究によると、老化に関わる物質が最初に発現するのは34歳頃。このときは体が若いので老化の実感は少ないのですが、50歳頃になると再び老化に関わる物質が増え始めます。すると疲労感を感じたり、やる気がなくなったりと、老化の兆候ともいうべきサインが現れ始めるのです。この頃までに対策を始めることで、その後の体の変化が大きく変わると考えられます」
老化細胞を除去する新成分
老化の要因については世界中で研究が進んでおり、現在では12の要因があるとされている(2023年1月、Cell誌より)。その一つが「老化細胞」だ。
老化細胞とは、本来の機能を失っているにも関わらず、除去されないまま体内に蓄積し、周囲の細胞を老化させるなどの悪影響を及ぼす細胞のこと。また、老化細胞は加齢に伴う体の変化に関与することもわかっている。
ファンケルは、日本や台湾、中国などに生育する植物「キンミズヒキ」に含まれる成分に、老化細胞を除去する作用があることを発見した。同社総合研究所・基盤技術研究センターの渡邉知倫氏は、発見の経緯についてこう話す。
「ファンケルは脳機能に働きかける素材を探索し、約10年前にキンミズヒキに出会いました。この植物を研究するうちに、キンミズヒキには脳の神経細胞に対する作用だけでなく、多岐にわたる体の変化に関与する可能性があることがわかってきたのです」
渡邉氏らの研究チームは、青く染めた老化細胞にキンミズヒキエキスを加えて、その変化を観察した。
その結果、加えるエキスの量を増やすに従って、老化細胞が多く除去される(青い細胞が減る)ことがわかった。
また、老化細胞を除去する作用をもつのは、キンミズヒキに含まれる「アグリモール類」という成分であることも特定した。
臨床試験で確認
ファンケルの研究チームは、ヒトでの臨床試験を行ってキンミズヒキエキスの作用を確認した。
対象は40歳以上60歳未満で、血液中に含まれる細胞の一種(キラーT細胞)の老化細胞の割合が多い男女110名。2グループに分けて、一方にはキンミズヒキエキス50mgを、もう一方には同成分を含まないプラセボを8週間とってもらった。その結果、キンミズヒキエキスを摂取した男性ではキラーT細胞中の老化細胞の割合が有意に減少した。
「老化細胞を除去できれば、老化によって起こるさまざまな生理機能低下の軽減につながる可能性があります。臨床試験において、キンミズヒキエキスを摂取した人では『疲労感の軽減』『前向きな気分を維持』する機能を確認しており、老化細胞除去が関与した結果だと考えています」(渡邉氏)
今回の臨床試験に先立って、ファンケルは血液を使って老化細胞を定量化する技術を改良した。この技術は、老化の進行度を数値で評価できる画期的なものだ。こうした技術や新成分の開発が、「老化が治療できる」未来に向けての第一歩となるかもしれない。
■提供:「老化細胞を除去する新成分」に関する説明会(ファンケル)