正月映画でアニメの牙城に一矢報いた「バンクーバーの朝日」
正月興行は日米の2本のアニメが制した。ご存じ「妖怪ウォッチ」とディズニーの「ベイマックス」である。「妖怪ウォッチ」はすでに興収55億円を超えた。2本合わせて早くも100億円の大台に乗りそうだ。
アニメが凄すぎる。これが日本の映画興行の現実だ。しかし、ちょっとした異変も起きた。スタートしたころはまったく物足りない成績だった「バンクーバーの朝日」が、正月の土日(1月3、4日)に大幅に動員を伸ばしたのである。
正月ぐらい、じっくり見ることができる映画に接したい。そんなふうに思った中高年が多かったのだろう。大人が見る映画が少ないので、消去法的に本作を選択した気もするが、ヒット作があってまずは一安心。
「バンクーバー」は戦前のカナダ・バンクーバーが舞台。移民の日本人がさまざまな差別の中で、野球チームをつくり、現地のチームをやっつける。そのとき、日本人はバント野球をやった。
スポーツで、力のある大きな白人に勝つためには頭脳と小回りが必要だろう。映画ではそこをストレートに描いた。これは他の分野でも通用する日本人の生き方、仕事の指針でもあるだろう。