野球評論家・川藤幸三さん語る 「19年現役は酒のおかげ」
通称「浪速の春団治」。記憶に残る名代打として野球ファンを魅了した元阪神タイガースの川藤幸三さん(67)。球場を離れれば、球界屈指の酒豪として知られた――。
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ワシは現役時代、「いい生活したい」思うて野球したこと、一回もないんや。「いい酒飲みたい」「いい遊びしたい」、それだけやった。
「いい酒」「いい遊び」とは何ぞや? っちゅうたらすなわち、「いい仕事する」ことや。
いい仕事したら、酒もおいしいなるし、遊びも楽しい。両方がうまくいくように努力してこそプロ、こう思うて野球やっとった。
入団したんは68年。当時は猛者ゆうか、個性的な先輩が多てな。入団してすぐある先輩に、「カワ、おまえ、何しに来たんや」って聞かれて、「野球しに来ました」ゆうたら「ドアホ!」ってえらい怒られた。「ええか。いい成績残したら、18、19のガキでも、芸者遊びできるのがこの世界や。伝書鳩みたいに、球場と寮や家の往復しとるだけやったら、プロに入った意味ないやろ」と。