ラサール石井
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ラサール石井タレント

1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。

松本白鸚「ラ・マンチャの男」最終公演に思う 本来あるべき自分を目指して…

公開日: 更新日:

 松本白鸚さんが50年にわたり演じ続けてきた「ラ・マンチャの男」ファイナル公演が横須賀芸術劇場で上演中だ。千穐楽(せんしゅうらく)には公演回数1324回になる前人未到の偉業である。

 最初の上演は1969年。私は中学生だ。

 当初はおそらく戸惑いを持って受け入れられたのではないか。ミュージカルなのに照明は薄暗く、衣装は地味でボロボロ、派手な群舞もなければ喜劇でも悲劇でもない。

 宗教裁判にかけられるセルバンテスが獄中で、自分がドン・キホーテだと思い込んでいる狂人アロンソ・キハーナの即興劇を演じるという三重構造。ユーモアはあるものの明るさはなく、終わり方は苦くカタルシスもない。哲学的で何を問われているのか難解である。

 それでもありもしない「夢」に向かってひたすらに突き進む騎士であり戯作者の姿は我々に感動を与える。

 それは「本当の現実」よりも「本来あるべき姿」になれと教えてくれるからだ。劇中ドン・キホーテは言う「事実は真実の敵だ」と。

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