前田吟
著者のコラム一覧
前田吟俳優

1944年、山口県生まれ。俳優座養成所を卒業。ドラマ「若者たち」、映画「ドレイ工場」「孤島の太陽」などに出演し、「男はつらいよ」シリーズに69年の第1作から最終、2019年の第50作まで全作品に出演。「渡る世間は鬼ばかり」ほかドラマ、映画、舞台からバラエティー番組の司会まで幅広く活躍。

(1)一緒に入った温泉で見た 渥美清の背中の「大きなノの字」の傷痕

公開日: 更新日:

 防府天満宮そばで産湯につかり、捨て子同然にもらわれて育った少年がやがて役者となり、国民的映画男はつらいよ」で憧れの渥美清と出会う。前田吟が初めて語る「男はつらいよ」。前田吟と寅さんの世界をお届けする。

 ◇  ◇  ◇

 前田吟と渥美清の初共演は1966(昭和41)年に始まったTBSの1話完結ドラマ「泣いてたまるか」だった。その最終回のタイトルが「男はつらい」(68年)。主演・渥美清、出演は前田吟、小坂一也、「タコ社長」太宰久雄ら。この脚本を担当したのが稲垣俊と映画「男はつらいよ」を48作撮った山田洋次監督だった。

 前田は68年TMC(東京メディアシティ)のレモンスタジオで憧れの渥美と初めて居合わせる。

 ◇  ◇  ◇

 渥美(清)さんとの最初の出会いは「裸」でした。衣装部屋でね。渥美さんはスタジオで何かのドラマに出ていて、僕は別のドラマを撮るのでそこに行っていた。ドラマが違っても着替える部屋が一緒だから。

 僕は着替えながら「今度『泣いてたまるか』の最終回でお世話になる、前田です」と挨拶しました。すると、渥美さんは「あ、そう」と何げなくおっしゃってから、「君が出てるのはよく見てるよ」と言ってくれた。あの渥美さんが僕のドラマを見てくれてる。そう思うとドキドキしてうれしかったですね。

 その時、渥美さんも着替え中で裸でした。渥美さんとはそんな「裸の付き合い」から始まりました。

 でも、もしかすると裸じゃなかったのかなと思った時があります。「男はつらいよ」の33作「夜霧にむせぶ寅次郎」(84年8月)でのこと。舞台は北海道の釧路、北海道ロケです。マドンナは中原理恵さんでした。熊が出てきて、大騒動になる話です。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

  2. 2
    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

  5. 5
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  2. 7
    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

  3. 8
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  4. 9
    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

  5. 10
    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?