2030、34年の冬季五輪招致断念で札幌市は岐路に…再開発事業に延期や中止が目立ち始める
「人手不足と建設資材価格の高騰でビルの高さを低くしたり、工期を遅らせるなど事業計画を見直す企業が目立ってきました。半導体メーカーのラピダスが千歳に最先端の半導体工場を建設していることも、人手不足、資材高騰、そして地価上昇を加速させている背景になっています」
札幌市内の大手不動産会社・藤井ビルの幹部社員がこうした状況を嘆く。
「市内の再開発事業が多数ありますが、昨年の後半から民間を含め延期や中止になったプロジェクトが増えてきました。人手不足と資材価格高騰で大手ゼネコンも下請け業者が回らず工事が請けられない状況が出てきているんです」
同社では今期、来期とも注文が受けられない状況だという。そして建築費の高騰についてこう述べる。
「従来の建築費は坪単価70万円でしたが現在100万円から110万円を軽く出してきます。建設が始まっている物件も契約時の価格では工事の継続は難しいと、途中で何度か価格改定を要求される。大手ゼネコンも儲けより事業が成り立つかどうかの状況に追い込まれています」