アスリートを“電波芸者”に 年末年始バラエティーの敬意欠如
「最近のバラエティー番組はスポーツ選手を何だと思っているのか」
呆れ顔でこう語るのは、スポーツファンの吉川潮氏(作家)だ。
年末年始のテレビでは数々のバラエティー番組が放映された。その主役はお笑い芸人ではなく、スポーツ選手たちだ。プロ野球やサッカー、ゴルフの他に、卓球、フェンシング、アーチェリーなどのトップアスリートが登場。専門競技の技術を披露する余興で番組を盛り上げている。
今年はわざわざ海外に出向き、FCバルセロナのメッシやネイマールの他に、レアル・マドリードのハメス・ロドリゲスにも札束を積み上げ「電波芸者」に仕立てていたテレビ局もあった。冒頭の吉川氏がこう言う。
「ファンが英雄視する選手が、日本のテレビにおもちゃにされている映像が現地で放映されたらたいへんな怒りを買うでしょう。日本の選手にしても、番組で笑いを取ったりすれば、子供たちの見る目も変わる。大きなイメージダウンです。それでも小遣い稼ぎのほかに、女子アナやタレントと知り合えるという下心もあるから、いろんな番組に出るのだろうが、選手を管理する球団などが番組内容を精査しなければ、テレビ局の要求はどんどんエスカレートして何をやらされるかわかりませんよ。昔は長嶋、王を引っ張り出して野球芸を披露させるなんて番組はなかった。今のテレビはスポーツ選手に対する敬意がまったくない。テレビに出てくればお笑い芸人と同じ扱いです」