マウンドから舞台へ 元阪神・嶋尾康史が役者に捧げた20年
運が運呼び俳優に
元プロ選手がタレントに転向するのは珍しいことではない。しかし、「俳優」となるとかなり異色だ。その1人が元プロ野球投手で来年役者歴20年を迎える嶋尾康史さん(47)。現在、テレビドラマや舞台で活躍する個性派俳優で、昨年末にはNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」にも出演した。
「おかげさまで今でも現場で『元阪神の…』と言ってくださる人がいる。やっぱり関西地区での阪神の看板は絶大。阪神には感謝してもしきれない。野球を辞めてからずっとそう感じています」
嶋尾さんは86年ドラフト2位で阪神入り。プロ2年目から主に先発として活躍も、たび重なる右ヒジ故障もあって96年に引退。翌年から役者の道に足を踏み入れた。
もっとも、当初は俳優になるつもりは全くなかった。
「現役時代から故障がちだったので、野球をやめた後は体への興味もあって柔道整復師を目指そうと考えていました。でも偶然、戦力外を受けた直後に知人の映画監督を通じて今の事務所の社長と知り合ったのがこの世界に入ったきっかけです。最初は野球解説者からスタートしたのですが、これも偶然、事務所が同時期に俳優養成所を始め、それで『役者も』となったわけです。幸い、俳優として動き出した直後にテレ東の連ドラでのデビューも決まった。今思えば、本当に運が運を呼んだ感じ。人生ってわかりませんし、怖いですよ」