DeNA1位・浜口遥大は格闘エリート一家に誕生した“異端児”
「学校でもグラウンドでも、普段はどこにいるか分からないくらい、おとなしくて目立たない。それが、マウンドに立つと一転しましてね。気迫があふれ、勝ち気な部分が前面に出る。例えば、試合で四球を出すでしょ。すると、マウンド上で大きな声を出したりね。自分で自分を怒るんですよ。練習中とは別人のようになりますから」
こう言うのは、佐賀県立三養基高校の藤田敏郎野球部監督。その恩師が続けて、「試合では、すべてのアウトを自分で取ってやる、というタイプです。実際、彼が投げると最も多いのが三振、次に多いのが四球で、一番少ないのがヒットというピッチングでした」と言うのだが、幼少期からそういうところがあった。
「家庭環境が原因かもしれないですね」
と、父親の顕人さん(58)が笑う。
「遥大には2人の兄がいて、長男(31)は高校時代に陸上の投擲競技をやっていて体重100キロ、今もサモアのラグビー選手のような体格です。次男(26)は大学時代に総合格闘技に熱中した185センチの長身。2人とも私と一緒に中学生まで地元の空手道場に通っていましたから。遥大が家でも普段はおとなしくしていたのは、兄貴に逆らったらえらい目に遭う、と思っていたからでしょうね。ただ、2人の兄に駆けっこやテレビゲームで負けると、わんわん泣いた。3兄弟の中で負けん気は一番強い子でした」