鈴村裕輔
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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大リーグ選手会副委員長ブルース・マイヤーの解任問題は今後の労使交渉を左右する

公開日: 更新日:

 委員長の解任は実現しなかったものの、求心力が低下したクラークは労使交渉の経験を持つ弁護士を要職に迎えることで事態の打開を図った。

 こうして1986年に名門法律事務所のワイル・ゴッチェル&マンジェスに入所して労使交渉を担当し、後にNFL、NBA、NHLの選手組合で十分な経験を積んだマイヤーが副委員長となったのだった。

 だが、一部にはクラークとマイヤーが有力な代理人スコット・ボラスと親密な関係にあり、ボラスと契約する選手が有利な契約を結んでいるという批判があった。そうした不満が今回の騒動をもたらしたのである。

 クラークは、マイヤーの解任を拒否したとはいえ、他の役員がこのまま引き下がるとは思えない。

 もしマイヤーが解任されれば、マイナーリーグ経験者でマイナーリーグの選手会を結成したものの、労使交渉の経験のないマリノを相手とする方が経営陣にとっては有利となる。それだけにマイヤーの処遇が今後の労使交渉に大きな影響を与えることになるのである。

  ◇  ◇  ◇

 日刊ゲンダイの人気コラム「メジャーリーグ通信」で、前回はMLBにおける球種の呼び方の流行りや廃りについて報じた。

関連記事【前回を読む】…から要チェックだ。

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