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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」に出演中。

報道番組に求められるアメリカ外交を批判的に検証する視点

公開日: 更新日:

「欧米に比べて日本の報道は外国のニュースが少ない」との指摘がある。私は欧州に住んだことはないが、アメリカに住んだことはある。その経験で言うと違和感を覚える指摘だ。アメリカで現地の新聞を読み、テレビのニュースをチェックしていたが、そこで目にしたのはアメリカの政治、事件、そして圧倒的に多いセレブのスキャンダルだったからだ。

 外国のニュースはあるが、その多くはアメリカが派兵しているイラク、アフガニスタンの話だった。それはアメリカの安全保障や現地のアメリカ兵に関するもの。つまり、それは実態としてはアメリカの国内ニュースだ。

 欧州は少し違うかもしれない。しかし、仮にCNNやBBCを日本で視聴して「外国のニュースを報じている」と判断したら、それは誤解だ。私たちが日本で目にするCNN、BBCは海外向けに制作されたものだからだ。CNNもアメリカ国内放送は自国のニュースであふれている。

 それでも皮肉なことだが、派兵がアメリカ人に国外について考える機会を与えていたことは間違いない。ニュースだけではない。例えば大リーグの試合前にスタジアムの大画面に現地に派兵されている地元の若者がオンラインで出てくるセレモニーが行われていた。一種の国威発揚だが、それでも球場に来た人々は、戦乱の地の存在を知る機会にはなったはずだ……試合後には忘れている可能性が極めて高いが。

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