「ライツ・オン! 明治灯台プロジェクト」土橋章宏著

公開日: 更新日:

 物語の舞台は、明治初期の長崎県伊王島。西欧は日本に航海の安全のため灯台設置を強く求めていたが、当時の日本には十分な明るさの灯台を造る技術がなかった。そこで招聘されたのが英国人技師のリチャード・ブラントン。彼は、日英ハーフで通訳の丈太郎と共に灯台設置予定地を検分して回っていたが、船の故障で長期滞在する羽目になった伊王島で、佐賀藩の天才発明家・田中久重と出会う。理不尽な階級差別から本国を飛び出したリチャードと、ハーフを理由に居場所が見つけられなかった丈太郎は、この出会いを契機に、リチャードはプロの技術者として、丈太郎はプロの通訳としての情熱を燃やす。次々と立ちはだかる障害に負けず、灯台は建設できるのか――。

 国も世代も異なる人々が力を合わせて困難なプロジェクトに挑む姿を描いたエンターテインメント小説。シナリオ大賞の受賞経験のある著者らしく、魅力あふれる登場人物の爽快な物語をテンポよく読ませる。

(筑摩書房 1400円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    元アイドル渋谷哲平さんが明かすコロナ後のギャラ事情と大病「赤いヘルプマークを付け…」

    元アイドル渋谷哲平さんが明かすコロナ後のギャラ事情と大病「赤いヘルプマークを付け…」

  3. 3
    堀江しのぶがスキルス性胃がんと判明 余命2か月の宣告に…

    堀江しのぶがスキルス性胃がんと判明 余命2か月の宣告に…

  4. 4
    木村拓哉ドラマはなぜ、いつもウソっぽい? テレ朝「Believe」も“ありえねえ~”ばっかり

    木村拓哉ドラマはなぜ、いつもウソっぽい? テレ朝「Believe」も“ありえねえ~”ばっかり

  5. 5
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  1. 6
    寿美花代の“卒親宣言”は終活の手本に…高島ファミリーの大邸宅から施設入居の報道

    寿美花代の“卒親宣言”は終活の手本に…高島ファミリーの大邸宅から施設入居の報道

  2. 7
    政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた

    政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた

  3. 8
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  4. 9
    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

  5. 10
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽