元川悦子
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元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

中村敬斗は23歳の苦労人 ランスのチームメート伊東純也とのコンビ磨きブレーク狙う

公開日: 更新日:

中村敬斗(スタッド・ランス/FW/23歳)

「代表3試合(の中で)ちゃんと試合に出たのは2戦目。そこで3点取れるのは大きいですよね。みんなのパスあってこそなんで、マジで感謝ですね」

 9月12日のトルコ戦(ゲンク)で立て続けに2得点を叩き出し、3月のウルグアイ戦(東京・国立)での初キャップからわずか3試合で3得点。さらに26日のフランス1部・リール戦でも新天地初得点と超ハイペースでゴールを積み上げている中村敬斗(スタッド・ランス)。第2次森保日本の新生イケメンFWは今、勢いに乗っている。

 2017年U-17W杯(インド)、2019年U-20W杯(ポーランド)と10代の頃から年代別国際大会を経験してきた中村。同い年の菅原由勢(AZ)、1つ下の久保建英(レアル・ソシエダ)とは長く共闘してきた間柄だ。

 中村の代表3得点のうち、6月のエルサルバドル戦(豊田)のゴールとトルコ戦の1点目は久保がプレゼントしてくれたもの。

「彼からゴールが生まれるなっていう予感があって、プレーしていてすごいワクワクする。一緒にプレーできて嬉しいですね」と本人も絆の深い同世代のアタッカーに感謝していた。

 ここにきて急成長を遂げている中村だが、23歳という年齢の割には苦労人だ。

 高校3年生になった2018年にガンバ大阪入りし、いち早くプロデビューしたものの、当時の宮本恒靖監督(現JFA専務理事)に「走れない、守れない、戦えない」と烙印を押され、U-23チームに落とされる苦渋を味わった。

 2019年夏にオランダ1部トゥエンテに赴いてからも、序盤は9戦先発3得点1アシストと快進撃を見せたとはいえ、10月末から試合に出られなくなり、わずか1年でベルギー1部のシントトロイデンへ。

 そこでも出番を得られず、2021年2月にはオーストリア2部のFCジュニアーズへ行くという大胆な決断をした。

「早く世界トップに駆け上がりたい」と焦燥感に駆られた20歳の若武者が、格下リーグの2部に行くというのは大きな驚き以外の何物でもなかった。「試合に出ることを優先して選んだ道」と本人は覚悟の移籍だったことを明かす。

「あまり先のことを考えず、目先のことを一歩ずつこなしていこう」と再出発を図った中村はゴールにつながるチャンスメーク、クロスからのシュートなどペナルティエリア内の仕事に磨きをかけることに集中。同年夏には同国1部・LASKリンツに引っ張られ、22-23シーズンには公式戦14ゴールをゲットする。

 その目覚ましい活躍が認められ、今年3月に森保一監督率いる日本代表に初招集。今夏には欧州5大リーグのフランス1部、スタッド・ランスへの移籍を勝ち取った。

 最初の欧州挑戦から丸4年。回り道をした分、中村は人間的にも選手としても大きな飛躍を遂げたのだ。

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