武田薫
著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

全豪OPは初戦敗退も…時代は大坂なおみを「多様性の女王」として必要としている

公開日: 更新日:

「ウィンブルドンはアラブ諸国から放映権料を取らない。イスラム圏でもテニスを普及させたいからです」

 1980年代までのテニスは西側諸国のものだった。冷戦後、旧社会主義国が勢力を伸ばし中国が台頭し、イスラム圏の女子はまだ少ないが、チュニジアのジャバーがウィンブルドンで2度準優勝……テニスは常に古い価値観を覆して成長し、大坂なおみはその追い風に乗っている。

 父はハイチ人、北海道生まれの母は黒人と結婚したため勘当され、3歳で渡米。国際性豊かな(まれな)日本人──国内では評価されないが、この大坂ブランドの評価は高い。1試合もせず21億6000万円の年収は、変わろうとしている時代の流れにマッチしているからだ。

 試合後、これから積極的に大会に参加すると語った。どこに行っても歓迎されるだろう。肌の色や言葉だけでなく、母親であること、仮に離婚しても、時代はますます彼女を求める。

〈オリンピックで日の丸を〉なんてちっちゃな話ではない。日本協会や、その権威にしがみつくレトロマスコミなど気にしない奔放さ──新しい日本人像としてその行方に注目する。

 ◇ ◇ ◇

武田薫氏による本コラム「スポーツ時々放談」では、スポーツ界の様々な時事ネタに切り込んでいく。下記関連記事はすべて同コラム。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った

    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った会員限定記事

  2. 2
    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

  3. 3
    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

  4. 4
    宮迫博之の地上波復帰また遠のく…チバテレ番組ゲスト出演のはずが、収録済みでもソデに

    宮迫博之の地上波復帰また遠のく…チバテレ番組ゲスト出演のはずが、収録済みでもソデに

  5. 5
    巨人阿部監督を悩ます原前監督の尻拭い…FA組と主力の過渡期でよぎる高橋由伸政権時の再来

    巨人阿部監督を悩ます原前監督の尻拭い…FA組と主力の過渡期でよぎる高橋由伸政権時の再来

  1. 6
    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  2. 7
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8
    プロアマを“人質”にした協会の傲慢ぶりで伝統ある大会が消滅危機…3年前から続く対立構造の根本

    プロアマを“人質”にした協会の傲慢ぶりで伝統ある大会が消滅危機…3年前から続く対立構造の根本

  4. 9
    だれもが首をひねった 演技派俳優・古尾谷雅人の自殺の謎

    だれもが首をひねった 演技派俳優・古尾谷雅人の自殺の謎

  5. 10
    渡部建はキスなし即ベッド“超自己中SEX” 元カノ女優が激白

    渡部建はキスなし即ベッド“超自己中SEX” 元カノ女優が激白