自民党改憲草案「集中講義」
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<第13回>憲法改正国民投票については楽観している
今回の連載で明らかにしたように、自民党の「日本国憲法改正草案」は、憲法の「改正」などと呼べる代物ではなく、紛れもなく憲法「改悪」試案である。だから、このようなものをわが国の新憲法にさせてはならない。…
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<第12回>憲法の意味「分かろうとしない」自民に委ねられない
これまで11回にわたり自由民主党の「日本国憲法改正草案」を分析・解説してきたが、改めて、そのお粗末さに驚かされた。 まず、「憲法の意味が分かっていない」というか、これまで議論に参加してきた私…
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<第11回>憲法を憲法でなくしてしまう自民案
自民党は憲法改正発議に必要な条件を、現行96条の衆参各院それぞれの3分の2以上から、2分の1以上に緩和することを提案している。これは憲法を憲法でなくしてしまう暴挙である。 憲法は国家権力を統…
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<第10回>自民党の改憲案では地方分権は実現しない
現在65歳の私が大学生であった頃から今日に至るまで、「地方分権」という政策目標は国策として常に語られてきた。しかし、実感として、それが実現している印象はない。 それは、現行憲法の規定の文言に…
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<第9回>自民党の「代表」観が間違っている
憲法14条1項は「すべて国民は、法の下に平等で……政治的関係において……差別されない」と規定している。人格の平等、一人一票の原則である。そして47条は「選挙区……その他両議院の議員の選挙に関する事項…
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<第8回>自民党は法と道徳を混同している
自民党の改憲草案は、24条1項で、「家族は、互いに助け合わなければならない」と命じている。これは憲法の規定ではあるが、この命令の名宛人は、文脈上、「家族」を構成する可能性がある全ての国民であろう。 …
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<第7回>自民党は政教分離原則を誤解している
現行憲法の20条は信教の自由を保障し、さらにそれを確かなものにするために、政教分離原則も明記している。後者は、さらに89条(宗教に対する公金支出の禁止)で補強されている。 これらは、かつて中…
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<第6回>自民党は権利と義務の関係を誤解している
自民党改憲草案12条は「自由および権利には責任および義務が伴う」と規定している。これはある意味で当たり前のこと(つまり世界の常識)である。だから、現行の日本国憲法にも「自由および権利は、国民の不断の…
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<第5回>危険なテロも招きかねない自民党の9条改正案
憲法9条の問題は、まるで難解なパズルのようなものだが、この国の、つまり私たち自身の命運にかかわることなので、お付き合いをいただきたい。 自民党の9条改正案は、まず、1項で、「国権の発動として…
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<第4回>自民党案は「人間」観も間違っている
現行憲法の13条は「すべて国民は、個人として尊重される」と規定している。ところが、自民党の改憲草案13条は「全て国民は、人として尊重される」と規定している。 形式的には「個人」が「人」に変更…
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<第3回>国民全体を縛ろうとする憲法観が大間違い
現行憲法の99条は「……公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と規定している。つまり、憲法は、政治家以下の「権力担当者が守るために作られた規範」といえる。 ところが、自民党の改憲草案…
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<第2回>なぜ自民党から時代錯誤の改憲案が出てきたのか
日本国憲法の改正に不可欠な国民投票法が昨年、ようやく成立したことで、憲法改正はスタート台には立ったとは言える。 憲法9条を巡る混乱だけでなく、環境権やプライバシー権、知る権利などの不備、さら…
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<第1回>動き出した憲法改正の中身を国民は知る必要がある
長期政権を視野に入れる安倍首相は年頭所感で戦後70年の節目に「新たな国作り」を宣言した。その根幹をなすのが安倍の悲願である憲法改正であるのは言うまでもない。憲法学者の小林節慶大名誉教授に、その野望の…