五木寛之 流されゆく日々
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連載12086回 思い出のラジオ局 <1>
先日、ひさしぶりでラジオ日本の番組にでた。 タブレット純さんが永年やっているトーク番組に、ゲストとして呼ばれたのだ。 タブレットさんの昭和歌謡にまつわる週刊新潮の連載をずっと愛読していた。私…
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連載12085回 健康の目的とは── <2>
(昨日のつづき) 誰もが健康でありたいと思う。病を抱えつつ生きたいと願う人はいないだろう。 そうであるならば、健康こそが人生の究極の目的であるのだろうか。 その問いに対しては皆が「ノー」と…
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連載12084回 健康の目的とは── <1>
若い頃から不節制な生活を続けてきた。 こんな暮しを続けていたのでは長生きはできないだろうと、ずっと思っていた。 それがズルズルと今日までさしたる大病もせずに生きてきたというのは、どうも自分で…
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連載12083回 七五調は消えるか <3>
(昨日のつづき) いま流行しているポップス系の歌の大半は、七五調とは無縁の歌詞がほとんどだ。 テレビをみていると、新しいグループのヒット曲の歌詞が、画面下にテロップで出ている。歌をきいているだ…
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連載12082回 七五調は消えるか <2>
(昨日のつづき) 親鸞の前に法然がいる。その前に源信がいた。恵心僧都源信である。 3人とも天台に学んだが、法然、親鸞は中退した。市井のヒジリとして念仏を説いた。声にだして念仏をとなえれば、悪人…
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連載12081回 七五調は消えるか <1>
これまで何度も書いたことだが、平安時代に大流行した巷の歌に「今様」というのがある。 「今様」。 文字通り「その時代の世の中の空気を如実に反映した歌謡」とでもいえるだろうか。当時の人々の喜び、悲…
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連載12080回 死をどう考えるか <5>
(昨日のつづき) 私は現在、92歳。今年の秋には93歳を迎える。 自分でも信じられない位に長く生きた。この日刊ゲンダイの連載をはじめてからでも、すでに50年が過ぎている。 父も、母も、そし…
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連載12079回 死をどう考えるか <4>
(昨日のつづき) 昭和ヒトケタ生れの私にとって、戦時中の少年時代は、常に死を考える日々だった。 子供が死を考える、などというとナンセンスにきこえるだろうが、事実だったのだから仕方がない。戦争の…
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連載12078回 死をどう考えるか <3>
(昨日のつづき) 日本中が大谷選手の話題で沸き返っているときに、縁起でもない「死」の話などしていていいものだろうかと、いささか心配になっていた折りに、『週刊新潮』を読んでホッとした。 横尾忠則…
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連載12077回 死をどう考えるか <2>
(昨日のつづき) もう、ずいぶん昔のことになるが、文藝春秋本誌で、『うらやましい死に方』という特集を組んだことがあった。 全国の読者から、身近かな人々の死に方で、うらやましく思った実例を報告し…
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連載12076回 死をどう考えるか <1>
数日前の新聞に、昨年の小中高生の自殺についての短い記事がのっていた。 統計をとりはじめて以来、もっとも多い数字がでたという。 高齢者の自殺数はどうなのか。この秋には93歳を迎える私としては、…
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連載12075回 横山剣の自伝を読む <2>
(昨日のつづき) 横山剣の音楽的自伝『マイ・スタンダード』(小学館文庫)は、本文だけで570ページをこえる超分厚い文庫本だ。私が学生時代に愛読した<アテネ文庫>の5冊分ぐらいは優にあるだろう。 …
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連載12074回 横山剣の自伝を読む <1>
金沢のアートホールで弦哲也さんと『弦楽器をめぐるパフォーマンス』をやったあと、こんどは東京で横山剣さんと対談をした。 横山剣さんは作曲家である。そして<クレイジーケンバンド>のリーダーだ。 …
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連載12073回 金沢に「弦」を聴く <3>
(昨日のつづき) 私は若い頃、しばらくレコード会社の専属のアーチストとして働いていた時代があった。 学芸部に所属し、保育童謡とか、名曲アルバムの制作とか、いろんな仕事をしたものだった。『鉄腕ア…
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連載12072回 金沢に「弦」を聴く <2>
(昨日のつづき) 弦哲也さんとは、かなり以前からのおつきあいである。 NHKのラジオ深夜便で歌をつくったとき弦さんに曲をお願いした。部屋を借りて、ああでもない、こうでもないと歌づくりにはげんだ…
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連載12071回 金沢に「弦」を聴く <1>
金沢にいってきた。 ちょっとしたパフォーマンスをやるためである。 私がテレビ金沢で出演している『新金沢百景』という番組が、折り折りに催しているステージに参加するためだ。 この番組がはじま…
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連載12070回 スポーツと私 <4>
(昨日のつづき) このところメジャーリーグの来日と、大谷選手の活躍で、野球界はお祭り騒ぎだ。これだけ期待されて、その期待に答える活躍ぶりをみせる大谷選手は凄い。本人の才能プラス何かが憑依していると…
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連載12069回 スポーツと私 <3>
(昨日のつづき) 中学生の頃は卓球をよくやった。もちろん部活とか、そんな本格的なものではない。近くの公民館に出かけては、その辺のヒマ人を相手にラケットを振り回す程度の遊びである。 高校にはいる…
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連載12068回 スポーツと私 <2>
(昨日のつづき) 少年の頃、といっても戦時中の話だが、いちばんやったのは剣道だった。父親が有段者で武徳会の役員などもつとめていた男だったから、冬でも毎朝、叩きおこされて木刀の素振りなどをやらされた…
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連載12067回 スポーツと私 <1>
私はスポーツが好きだ。 だが、スポーツマンではない。体格も貧弱だし、運動神経も普通以下だろう。 それでも何か運動をすることが好きだし、またスポーツを観ることも好きだ。テレビ中継でプロ野球、そ…