五木寛之 流されゆく日々
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連載12028回 日刊ゲンダイ創刊のころ──故・川鍋孝文さんとの対話── <4>
(昨日のつづき) 五木 作る側の話ですけども、たとえばスタッフはどういう人達が集っているんですか。 川鍋 週刊誌の経験者、それから出版社の人たち、その他いろいろです。 五木 出版社からは? 川…
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連載12027回 日刊ゲンダイ創刊のころ──故・川鍋孝文さんとの対話── <3>
(昨日のつづき) 五木 前に何度も徹夜麻雀やったけど、川鍋さんは細身のわりにはタフだよね。朝になって別れるときでも、しれーっとしてるもの。 川鍋 まあ、それしかないですから。ぼくには。 五木 そ…
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連載12026回 日刊ゲンダイ創刊のころ──故・川鍋孝文さんとの対話── <2>
(昨日のつづき) 私が新人としてデビューしてしばらくたった頃、猛烈な中間小説ブームがおこった。『オール読物』『小説新潮』『小説現代』の3誌を中心に、月刊小説誌が次々と創刊され、それぞれが競合して熱…
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連載12025回 日刊ゲンダイ創刊のころ──故・川鍋孝文さんとの対話── <1>
新年といえば新しい明日を語るのが常識だが、私はひねくれ者なので、毎年、あれこれ過去をふり返ることにしている。 今年の正月、松の内も古い週刊誌などを引っぱり出して、かつての時代を回想した。 昭…
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連載12024回 寝正月から目覚めて <5>
(昨日のつづき) <健康は命より大事> というギャグが昔流行ったことがあった。 馬鹿馬鹿しい冗談のようだが、よく考えてみると一面の真実を衝いた言葉のようでもある。 健康、イコール長命とは…
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連載12023回 寝正月から目覚めて <4>
(昨日のつづき) いよいよ戦闘開始である。 正月を寝て暮したので体がナマって、というより筆がナマって思うように原稿がすすまない。 文章を書くというのも、プロのスポーツ選手の仕事と同じだ。1…
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連載12022回 寝正月から目覚めて <3>
(昨日のつづき) 午後おそくに、といっても夕方にはやや早い、微妙な時間にきょうの<日刊ゲンダイ>がとどいた。 政治・経済の話はあと回しにして、医療関係の記事からまず読む。 目下、3カ月ごし…
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連載12021回 寝正月から目覚めて <2>
(昨日のつづき) いよいよ仕事が始まった。 きょうは、日刊ゲンダイのほかに、小学館『サライ』の連載<奇想転画異>の原稿、そして雑誌『一冊の本』のロングインタビューのゲラ直しと、3本がノルマであ…
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連載12020回 寝正月から目覚めて <1>
今年の正月は寝正月だった。 それも並みの寝正月ではない。正月元旦からの3日間、ほとんどベッドの中で暮らしたような気がする。 寝ても寝ても眠りたりない感じで、ほとんどぶっ通しで寝た。90年以上…
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連載12019回 「昭和」こぼれ話 <10>
(昨日のつづき) 愚にもつかぬ昔ばなしをダラダラ続けているうちに、いよいよ今年最後の原稿となった。 ふり返れば1年間、欠席することなく皆勤できたのも、<ゲンダイ紙>のスタッフと読者のかたがたの…
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連載12018回 「昭和」こぼれ話 <9>
(昨日のつづき) 昭和文壇の慣習のひとつに<カンヅメ>というのがあった。 作家を旅館とかホテル、ときには出版社の別館や寮などに監禁して、外部との連絡を断ち、強制的に原稿を書かせるシステムである…
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連載12017回 「昭和」こぼれ話 <8>
(昨日のつづき) 戦後、何十年ぶりで剣道の道場へ参上した。 早速、手拭いを頭にまいて、剣道の防具をつける。 竹刀をもって板張りの道場に素足で立つと、気分は昭和10年後期の少年だ。 しば…
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連載12016回 「昭和」こぼれ話 <7>
(昨日のつづき) 『野性時代』のグラビア撮影の続きである。 札幌ではスピードスケートまで披露して、大サービスしたつもりだったが、アート・ディレクターの石岡瑛子さんが今ひとつ不満顔なのだ。 「こ…
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連載12015回 「昭和」こぼれ話 <6>
(昨日のつづき) 昭和10年代、私が国民学校(小学校)の生徒だったときは、もっぱら剣道をやった。 もちろん柔道もあったが、夏休みなどにも特訓があるのは、もっぱら剣道だった。 父親が剣道の有…
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連載12014回 「昭和」こぼれ話 <5>
(昨日のつづき) 歳末はどんな仕事でもあわただしい。 このところ原稿を書く以外の仕事で忙殺されている。 産経新聞の喜多さんのインタビューでは、『夕刊フジ』の終刊号特集に載る予定と聞いた。 …
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連載12013回 「昭和」こぼれ話 <4>
(昨日のつづき) 戦争の時代に、どんな歌をうたっていたかを考えてみる。 もちろん軍歌が中心だが、国民歌謡というか、戦意高揚歌のような歌も沢山あった。 『愛馬進軍歌』なども、よくうたわれたもの…
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連載12012回 「昭和」こぼれ話 <3>
(昨日のつづき) 大戦前期、まだ本土が空襲で悲惨な有様になる前は国民も暢気なものだった。 少国民と称された当時の子供たちのあいだで流行したのが、軍用飛行機のプラモデルづくりである。 いまで…
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連載12011回 「昭和」こぼれ話 <2>
(昨日のつづき) 昭和という時代を3つに分けて考えることを、以前から主張してきた。 <戦前昭和> <戦中昭和> <戦後昭和> の3期である。 <昭和前期> <昭和中期> <昭和後期…
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連載12010回 「昭和」こぼれ話 <1>
むかし、『戒厳令の夜』という小説を書いたことがある。 第1回目の休筆のあと、再デビュー第1作のつもりで書いた長編だ。 『小説新潮』に連載され、石岡瑛子の異様なイラストも話題になった。渋谷のデパ…
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連載12009回 禍福は糾える縄か <5>
(昨日のつづき) いい事もあるし、悪いこともある。 それが世の中というものだ、と言いたいけれど人生とはそう優しくはない。 運のいい人もいれば、生涯ずっと不運なままの人生もある。残酷なものだ…