沢田研二の音楽1980-1985
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新年早々に初めて聴いたとき、口をポカンと開けましておめでとうになってしまった
1983年=昭和58年が明けた。 街は映画「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」で盛り上がっている。この作品に、動物園のチンパンジー飼育係として働く三郎を演じたのが沢田研二、そしてマドンナは田中裕…
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「1983年の沢田研二」は一筋縄ではいかない年。冷静に迫っていきたい
連載タイトルの年代表記「1980-1985」を2つに分けると、前半が「1980-1982」、後半が「1983-1985」ということになる。 つまりここで連載が後半に入る。おそらく多くの方が予…
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ずぬけたロックンロールに艶やかな歌詞が「ジャスト フィット」
このアルバムの中で、個人的にもっともお気に入りで、何度も何度も聴いた曲、といえば「ジャスト フィット」に他ならない。「そうそう、私も」という人も多いのではないか。井上陽水バージョンでも知られ、彼のフ…
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井上陽水にしか書けない「ナンセンス・ダンディー」の世界
「意欲作」だ。「問題作」と言い換えてもいい。 「MIS CAST.」というタイトルからして意味深。このアルバム全曲の作詞・作曲を担当した井上陽水が「ミスキャスト」かどうかを問うているような感じが…
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三浦徳子の挑戦的な歌詞が30代の「ヤバい僕」を演出することに成功した
作曲=西平彰、編曲=白井良明という新作家陣に触発されたのだろうか。三浦徳子の歌詞も、かなり挑戦的なものとなっている。 歌われるのは、自分を愛してくれる女性がいるにもかかわらず「眠れない」「生…
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聴き手の度肝を抜くイントロなど、編曲・白井良明の手腕が素晴らしい
前々回書いた、この曲が聴き手に与える「どないなってんねん?」という印象は、多分に編曲家・白井良明の手腕によるところが大きい。 いきなり聴き手の度肝を抜くのがイントロである(一般的にイントロは…
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この曲の注目は作曲・西平彰が凝ったBメロの不思議な感覚
前回も述べたように、作曲は、この連載的には「4人目のエキゾティクス」=キーボーディストの西平彰。 リアルタイムの私は当然、西平彰という存在を知らない。その後、佐野元春を聴き出したのだが、当時…
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「どないなってんねん?」初めて聴いたとき、耽美退廃路線にのけ反った
「おいおい、どないなってんねん?」──白状すれば、当時、大阪の高校生にとっては、初めて聴いたときに、そう言いたくなる曲だった。 ジャケットをあらためて見つめる。何かの制服のようなコスチュームに…
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「STOP WEDDING BELL」のシャウトは必見
前回書いたように、ロックンローラーとしての沢田研二を尊重する立場からいえば、個別楽曲では、3曲目の「STOP WEDDING BELL」とラストの「素肌に星を散りばめて」が好みである。 先に…
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「日本人がもっとも小ぎれいだった時代」を反映したサウンド
1982年6月発売、約1年ぶりのオリジナルアルバムとなる。今回はロンドンではなく国内での録音(サウンド・シティ・スタジオ)。 全体を通して「都会的」とか「洗練」などの言葉が浮かんでくる作品だ…
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カップリング曲『ZOKKON』の歌詞に見て取れる佐野元春の影響の断片
この時期の沢田研二のシングルは、カップリング(B面/2面)のレベルも高く、元々はA面候補だったのかもしれないと思わせる出来である。 「渚のラブレター」のカップリング「バイバイジェラシー」や、「…
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イントロと歌い出しで不思議に耳に残る9th(ナインス)音のテクニック
沢田研二と佐野元春と大沢(現=大澤)誉志幸と伊藤銀次が、もし一緒に歌ったら──。 そんな豪華な組み合わせのコーラスがごくごく簡単に聴けるのである、「おまえにチェックイン」のイントロで。 …
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大沢誉志幸という巨大な才能を世に押し出した…この曲の最大のトピックだ
「おまえにチェックイン」というシングルの、ある意味、最大のトピックは、大沢(現=大澤)誉志幸という才能を世に出したことではないか。 大沢誉志幸は当時、渡辺プロダクション所属だったので、言ってみ…
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血が騒ぎ出すアメリカンな陽性ロックンロール路線
1982年も5月になった。 余談の多い連載だが、今回はいきなり余談。「おまえにチェックイン」の発売日は5月1日なのだが、同じ日に「スローモーション」というタイトルのシングルも発売されている。…
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タイガースはアマチュア時代、スパイダースのファンクラブに入っていた
いくつか補足を。 この曲、ギターソロがいかにも唐突である。ニューウェーブ感のあるロックサウンドの中で、突然スパニッシュ風のアコースティックギターがソロを担当するのだから。 これには理…
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この曲のMVPは岸部シロー 難なくこなす超絶高音ロングトーンが凄まじい
作曲はメンバーの森本太郎で、リードボーカルは沢田研二と加橋かつみで分け合っている。 テレビなどに出たときは、センターが沢田研二ではなく加橋かつみで、沢田は加橋の右側のポジションだった。 …
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「色つき」ちゅうのが…“意識高い系”だった母親の苦言にあえて反論する
作詞は前作「十年ロマンス」に続いて阿久悠。 「この『色つき』ちゅうのが嫌やなぁ」──当時、テレビで歌っているザ・タイガースを見て、私の母親が放った印象的な一言である。私の母親は中学校の社会科の…
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メンバー5人がCMに登場する「直接的タイアップ」が最大のヒットに貢献した
今年もよろしくお願いします。 さて、ザ・タイガースのこのシングル。すでに何度か触れているが、1980年から85年における、沢田研二(「同窓会」ザ・タイガース含む)のシングルで、もっとも高い売…
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【年末特別企画】連載前半総括「レコード大賞」を発表! 作詞・作曲・編曲・歌唱…そして大賞は?
「週4日、ほぼ毎日かよ、書けるのか?」と思いながら始まったこの連載も、今年は本稿で終わり。いよいよ前半戦が終了。折り返し地点に差し掛かりました。 進んだのは、ザ・タイガースのアルバム「THE …
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何といってもボーカル「サリー」の曲のタイトルがいい
このアルバム「THE TIGERS 1982」のベストトラックを挙げるとすると、シングルカットされた「十年ロマンス」は別格として、印象度でいえば、まずはB面3曲目の「ライラ」だろう。 ただ、…