植月正章
著者のコラム一覧
植月正章元アシックス営業本部長

1938(昭和13)年、鳥取県智頭町生まれ。57年オニツカ㈱入社、77年㈱アシックス推進部長、84年理事、88年取締役販売促進部長、93年常務取締役アスレチック事業本部長、99年専務取締役フットウエア営業本部長。2003年任期満了に伴い退任後、兵庫陸上競技協会会長、神戸市体育協会副会長、兵庫県体育協会副会長、神戸マラソン実行委員会会長、近畿陸上競技協会会長などを歴任。

<7>ロザ・モタは金メダルを獲得した夜に我々の皿洗いをした

公開日: 更新日:

 1984(昭和59)年のロサンゼルス五輪で初めて採用された女子マラソン。このレースで3位になったのがポルトガルのロザ・モタだ。モタは86年欧州選手権で2度目の優勝を飾り、この時、2年後のソウル五輪では金メダルが狙えると直感的に思った。

 モタは86年東京国際女子マラソンの招待選手で来日した。シューズを持って宿舎を訪問し、足型を取り、レースで履いてもらった。マラソン選手に関しては、来日した実力者へのPR活動に熱を入れた。練習や試合で良さを実感していただき、母国へシューズを送り続け、大舞台で活躍すれば契約を検討するという流れだった。

 モタは、急いで作ったシューズで東京国際に優勝。気に入ってくれたのでポルトガルに帰国した後も新製品を送り、感想を聞き、改良を重ねた結果、使用契約を結ぶに至った。

 87年世界陸上でも優勝し、ソウル五輪の金メダルがいよいよ現実味を帯びてきた。しかし、ソウルで優勝する瞬間、つまりゴールシーンではシューズはほとんどテレビに映らない。むしろ、レース中のウエアや表彰式で着るトレーニングウエアの方が会社のロゴマークを世界にアピールできる。ウエアがライバル会社のものでは困る。どうしてもポルトガル選手団にアシックスを着てもらわなければならない。同国五輪委員会と交渉の末、87年12月にソウル五輪の公式ウエア契約を結ぶことができた。

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