介護の現場
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「生活保護者の方が恵まれている気がします」
東京都下の都営住宅に住む相馬直一さん(仮名、66歳)は国民年金生活者だ。妻の年金と合わせ、月額約12万円でギリギリの生活を強いられている。外食、旅行などをする余裕はない。 家庭の事情で、80…
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精神障害を抱える高齢者を受け入れる
「幻覚」や「妄想」といった精神的な症状に代表される「統合失調症」の患者数は、厚労省の調査では約80万人(2008年)。国は在宅介護を奨励しているが、精神的な障害を抱えている患者の介護はいっときも目が離…
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入居者2人を24時間体制 いつ事故が起こるか内心ヒヤヒヤ
「介護職員が街頭に出て全国デモをするとか、施設で介護拒否でも起こさない限り、政府は動いてくれないのではないでしょうか」 深刻な表情でこう語るのは、関東圏で特養老人ホームやグループホーム、NPO…
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職員だって老人に虐待されている
都内の特別養護老人ホームに勤務して3年目に入る福澤幸恵さん(仮名、52歳)は、介護報道に少し不満を抱いている。 「老人ホームなどで、職員が入居者の手を縛っているとか、暴力を振るうなど虐待をした…
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何度もブザーを鳴らす入居者に「押しすぎると爆発しますよ!」と警告
「ウソも方便」は使い古された言葉だが、高齢者介護には欠かせない用語だ。 東京・板橋区内に住む中村貴一さん(48歳=仮名)は、介護福祉士の免許を所有し、介護歴も10年になる。 これまで特…
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25人を夜通し介護して月収20万円
「ベッドに横たわっていた80代の老人が、いきなりウンコを投げてきて、私の衣服を汚す。記者さんは、給与をいくらもらえば、汚物にまみれたこうした老人介護の職業に就きますか」 こう語るのは、50歳を…
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3度の食事準備、トイレ掃除を続ける毎日
今年春、東京・新宿区内の日本料理店に勤務していた古川荘一さん(仮名、52歳)が退職した。店からクビを切られたとか、体調を崩したわけではない。惜しまれながら、20年近く勤めていた店を去った。理由は父親…
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弟に生家を譲ったら…
親の介護を巡り、子供たちの間で裁判沙汰になるケースが少なくない。 茨城県つくば市郊外の一戸建てを生家にする池本純一さん(仮名、56歳)は、中堅商社に勤務するサラリーマン。3人きょうだいで、弟…
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冷凍食品と無駄な薬でカモられる入居者
「特養やグループホームなど、どんな老人ホームでも、入居者が最も生きがいを感じる時は何か分かりますか。1日3食の食事ですよ」 こう語るのは、介護福祉士で、東京都下の某市で福祉行政協議会委員を務め…
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月3~4回の夜勤手当を含め、給与は20万円強 辞めたいがほかに仕事がない
関東圏の人口約10万人を抱える市内の「特別養護老人ホーム」に勤務して、ほぼ10年のキャリアを持つAさん(30代前半)。月額賃金は、手取りで約20万円強だ。 基本給与に、数年前に取得した介護福…
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風呂は毎日でも入りたいけど支払いを思うと諦めています…
“老老介護”――。介護される人が介護をするという社会現象が急速に進み、思わぬ事態を招いている。 東京・下町にある300世帯ほどの都営住宅に、40年近く住んでいる古川利男さん(仮名、84歳)は、…
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入居者家族VSホーム
「母の認知症が進んでいるような気がします。薬をちゃんと飲ませてくれているんですか!」 関東圏にある特養老人ホームに入居している80代女性のAさん家族から、ホームの施設長がこう抗議された。 …
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夫の母親、妻の両親と介護同居
「わが家は一時期、老人ホームのような状態でしたね」 こう語るのは埼玉県大宮在住の、食品販売業・楠木明男さん(仮名、56歳)だ。 話は10年ほど前にさかのぼる。父が病死したことから、群馬…
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特別養護老人ホームに優先入居する方法
自宅介護の必要性に迫られたとき、伴侶か子どもは、会社勤めを放棄しなければならないケースが少なくない。だが、その逆もある。 東京・板橋区内に住む派遣業、笹本喜一さん(仮名、63歳)は、2年前に…
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遠くの子供より近くの他人
東京・中野の一戸建てに住んでいた古橋美智さん(仮名、90歳)は10年ほど前に夫に先立たれてから独り身生活。5年ほど前から足腰が急に弱くなり買い物に行くのもつらくなった。 そのため、1日3食、…
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介護のための単身帰郷で離婚の危機
親の介護をめぐって夫婦が対立。離婚へのカウントダウンが始まることもある。 東京・町田市の一戸建てに住む藤沢晶さん(仮名、65歳)は、定年を2年間延長し、62歳で中堅の建設会社を円満退職した。…
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故郷の両親を呼び寄せ「高専賃」に 費用は1人17万円
「両親を説得するまでかれこれ3年もかかったでしょうか」 こう口を開くのは、東京・豊島区内で飲食店を経営している日下義美さん(58歳=仮名)。香川県高松市生まれで、3人きょうだいの長男である。2…
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「自宅で面倒を見続けたら、私たち夫婦は破綻すると思いました」
「あなた、どちらさまですか」 神奈川県横浜市郊外の有料老人施設に入居している父(92歳)を見舞うとき、娘の石尾輝子さん(仮名、63歳)は、いつもこう言われる。 石尾さんの父親は、昨年の…