三枝成彰の中高年革命
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ドイツの劇場はノーマスクで“密” 「コロナは恐れる病気ではない」という大人の認識
ドイツの「バイロイト音楽祭」で大作曲家リヒャルト・ワーグナーのオペラ(楽劇)を見てきた。何より驚いたのは、満場の観客の誰もマスクをしていなかったことだ。 会場は独南部バイエルン州のバイロイト…
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日本人が「若さ」と「未成熟」を尊ぶ不思議 成熟に価値を見いだす西洋人には奇異に映る
かかってきた電話に出るとき、たいていのご婦人は第一声の「もしもし」が1オクターブ上がった。よそ行きの高い声で出て、ご夫君からとわかると「なんだあなたか」と急に低い地声に戻る、という光景もよく見られた…
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「美しい音楽は嫌われる」強烈なメッセージがなければ芸術ではない
西洋人はメッセージと新しい試みのない音楽は評価しない。美しいだけの音楽は「甘いお菓子のよう」とさげすまれる。ラフマニノフやチャイコフスキーらロシアの作曲家の作品も、欧州では低評価。私たちの世代は「ハ…
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旧統一教会問題で反応が鈍い自民党 日本人の「忘れっぽさ」に期待しているのか
日刊ゲンダイ(3日付)によると、自民党の「統一教会『濃厚接触』議員」は32人に上る。二之湯国家公安委員長、安倍元総理の実弟の岸防衛相、末松文科相、細田衆院議長らで、日本維新の会も13人の議員について…
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私が安倍元総理の国葬に反対する理由…「嘘が通る社会」をつくったのは誰か
安倍元総理は、とても人柄がよかったと聞く。明るく朗らかで、腰も低く、誰とでも気兼ねなく接した人だったという。彼をよく知る人たちも、直接は知らない人たちも、誰もがその人柄をしのび、悼んでいる。 …
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国の威信より重いのは国民の命…戦争で奪われた領土は返ってこない
「最後まで戦い抜く」と宣言して国民を総動員し、先の見えない無謀な戦争を続けるリーダー。その姿は、とりわけ日本人にとっては戦前の東条英機を思わせる。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、まさにそう…
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安倍元首相への追悼と、その仕事への評価は別だ…死を美化してはならない
安倍元総理には謹んで哀悼の意を表します。 その上で申し上げたいことがある。彼個人への追悼と政治家としての評価をいっしょくたにした“悲劇の英雄”としての美化が始まった。「モリカケサクラ問題」も…
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日本にオリンピックはもういらない! まずは給与水準の引き上げを
東京五輪の大会経費は、2013年の「立候補ファイル」では“コンパクト五輪”をうたい、7340億円だった。しかし、先日発表された最終決算は1兆4238億円という莫大(ばくだい)な金額で、およそ2倍だ。…
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戦死しても“英雄”にはなれない みんなで勇気を持って「非国民」になろう
安倍元総理は、日本の防衛費を現状の2倍のGDP比2%にしろと発言した。彼に聞きたい──それで戦争になったら、あなたは前線に立てますか? 日本のために死ねますか? ずっと後ろの安全地帯から見ているだけ…
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国民の過半数が「生活が苦しい」と回答しているのに、国がマネーゲームを主導してよいのか
政府が「貯蓄から投資」への政策を推し進めている。だが、国が国民を巻き込んだマネーゲームを主導してよいのだろうか? 根底にあるのは新自由主義が世を席巻してから散々言われてきた「自由と自己責任」だ。そこ…
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ウクライナ侵攻は「西洋と非西洋」の闘い 民主主義はすでに後退を迎えている
ロシアの国土は77%がアジア側だ。そのため西洋の中心から「スラブ民族はアジア人だ」とさげすまれてきた恨みがあり、強烈な対抗心がある。 今回のウクライナ侵攻は「西洋(民主主義国)」と「非西洋(非民主主…
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いつの時代も天才は勝手に生まれるものだが、それを育てるのは社会なのだ
努力を続ければ、どんな人でも“天才”になれる。生まれつきの天才も確かにいるが、得てして何でもできるだけにすぐに飽き、努力をしない。それに日本では「努力なんて格好悪い」とする風潮が蔓延してしまった。野…
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一心不乱に打ち込める才能さえあれば、「天才への道」は誰にでも開かれている
「1日に8時間の練習を365日休まず20年間。約6万時間、続けさせられますか?」 これは私の持論だ。子どもを音楽家にしたいという親御さんに会うと、必ず聞く。毎日それだけ練習しなければ、人前で演…
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伝統や道徳は壊すためにある…新しいものを生み出すのは「破壊する力」だ
仲間内でよく「指揮者がいないね」という話になる。外国の音楽ファンにも知られるような日本人指揮者が見当たらないのだ。真に世界に知られる日本人演奏家は、指揮者の小澤征爾さんとピアニストの内田光子さんぐら…
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女性リーダーが活躍できない日本は世界に後れを取っている
プーチンの思考回路は20世紀のままらしい。手前勝手な理屈をもとに力で他国の主権を踏みにじるさまは、かつてのヒトラーを思わせる。時代錯誤も甚だしい。彼がよりどころとする武力による統治は、すでに過去の遺…
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ウクライナの「自由を求める民衆の闘い」を描いたドキュメンタリー
「ネットフリックス」配信のドキュメンタリー「ウィンター・オン・ファイヤー:ウクライナ、自由への闘い」を見ていただきたい。2013年から14年の「マイダン革命」を撮影したもので、今回の侵攻を受けて再配信…
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21世紀に日本を「戦争のできる国」にするのはバカげている
21世紀はもはや“戦争の世紀”ではない。プーチンのようにマッチョイズムを信奉し、「強い指導者」たらんとする政治家は、どんどん取り残されていくだろう。どのような理由があろうと、他国の領土や主権を蹂躙(…
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日本は自国の“黒歴史”への反省なくしてロシア非難はできない
ロシアのウクライナ侵攻に対して世界中が非難囂々(ごうごう)だが、みじんも後ろ暗いところなくロシアを批判できる国は、どれほどあるのだろうか? まず日本。中国戦線では中国軍の死者は130万人、民…
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歴史にみるロシアの残虐性 習近平が支援すれば未曾有の大戦に…
ロシア人は、一方で素晴らしい芸術や文化を生む才を持ちながら、一方で人間の命を尊いものと考えない恐ろしい一面も持っている。 2001年にウズベキスタンに行った。首都タシケントの劇場で木下順二作…
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世界第5位の軍事力を持つ日本がすべきことは、軍拡競争の連鎖を止めること
ロシアには5回、行った。1993年の山本寛斎さんのイベント「ハロー!ロシア」、95年の「日本文化週間」でのバイオリン協奏曲の公演、2001年にはウズベキスタンからの乗り継ぎ、そして13、15年には六…