三枝成彰の中高年革命
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西洋音楽の未来を担うのはアジア人だ ショパンコンクール2位の反田恭平さんは甘い演奏で損をした
ウィーンのレコード店で、CDの売り上げトップ5のうち3人が中国人ピアニストの作品で驚いたことがある。ラン・ラン、ユンディ・リ、ユジャ・ワンだ。中国では3000万人の若者がピアノを学び、プロを目指す人…
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富の偏在の解消は最優先課題 税の仕組みを再構築し、公平に恩恵が受けられる社会に戻さなければ
かつて私が所得の89%を税金で払っていた、というと驚かれるだろうか。日本の所得税の最高税率は現在45%だが、1983年以前は75%もあった。そこに住民税などをプラスしていくと、合計で89%にもなった…
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“ビッグマック指数”でも明白 日本人が世界で爆買いできる時代はもう来ないかもしれない
別表のランキングは、英誌エコノミストの“ビッグマック指数”だ。世界各国で販売されているマクドナルドのハンバーガー「ビッグマック」の売価を調べたもので、その国の物価や経済力を表すひとつの指標とされる。…
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日本の豊かさはどこへ? もはや「ナンバーワン」になれる可能性は消失した
まず、別表のランキングを見ていただきたい。このランキングを見て、どうお感じになるだろうか? 日本が「一億総中流」と言われていたのは1970年代の話だが、それから約50年が経過したいま、現実を…
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失敗の自覚は? 総裁選不出馬で退く菅首相…為政者の責任の取りかたに国の本質が見える
為政者の責任の取りかたは、その国の本質をあらわす。9月にオランダの主要閣僚が2人、辞任した。カーグ外相とバイレフェルト国防相だ。2人とも、タリバンがほぼ全土を掌握したアフガニスタンからの撤退に際して…
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ご立派な「負の遺産」を残した東京五輪 ウソを重ね招致した為政者たちは何を誇れるのか
東京オリンピックに次いで、パラリンピックも閉幕した。精いっぱいの成果を出された選手と運営スタッフの皆さんには敬意を表したいが、この大会が日本に何を残したのか。試合を楽しみ、選手たちの勇姿に励まされた…
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安倍・菅政権で「政治は人」と痛感 国民にウソをつかない人を選ぶべきである
紳士や聖人君子では一国の宰相は務まらない――このセオリーがいつできたのかはわからないが、今回の自民党総裁選にも、それはあてはまってしまうのだろうか。 最初に出馬を表明した岸田文雄さんは、いま…
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ビジョンなく恐怖で支配した菅総理 国を率いる政治家は確固たる哲学や理念を持つべきだ
事実上の退陣を決めた菅総理は、日を追うごとに人気を失っていった。昨年9月の政権発足当時の内閣支持率は62%(NHK世論調査、以下同)。それが今年8月には29%にまで落ち込んだ。一方で不支持は13%か…
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タリバンが政権を奪取 戦争はいつの時代もかたちを変えて現れ続ける
死ぬことを恐れない相手ほど、怖いものはない。それはどんな武器よりも強いからだ。なぜ最新装備の米軍がアフガニスタンからの撤退に至ったのか? そこには武器の優劣にかかわらない戦いがあったのだと思う。 …
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「世界一のギャンブル大国」日本にカジノ誘致するのは狂った無駄遣い
日本は世界一のギャンブル大国だ。その売り上げは1年間に26兆円を超える。 国や自治体公認のいわゆる公営競技(中央競馬、地方競馬、競輪、ボートレース、オートレース)の昨年の売り上げは合計6兆8…
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戦争への猛省は? 兵士に「抗命権」があるドイツと、ない日本の違い
先日、NHKのドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」を見た。 主人公は帝国大学(九大と思われる)医学部に勤務する医師。太平洋戦争末期、上司である教授の命で、捕虜となった米兵の生体解剖…
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東京五輪の“学芸会”開閉会式は日本のダサさと思考停止ぶりを世界に知らしめた
すったもんだのオリンピックが終わった。コロナ禍で精いっぱいの健闘をされた選手の皆さんには敬意を表したい。しかしながら開閉会式の中継を見て覚えたのは、「オリンピックはすっかり広告代理店が仕掛ける学芸会…
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運動競技開催で自己陶酔にふける暴君、為政者…古代ローマと現代日本の共通項
国民1人あたりが東京オリンピックのために支払う金額について「週刊ポスト」(8月13日号)が試算を公開した。それによると都民1人あたりの負担は何と10万3929円! 都民を含む国民1人あたりの負担は1…
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オリンピック開会式は中途半端な出し物ばかり…かつてないほどつまらなかった
まずは前回の記述に一部誤認があったので、改めて書く。 広告代理店はIOC委員の子女の米一流大入学や現地での生活費の世話まですると聞いた。その費用はクライアントの企業に肩代わりさせる。その見返…
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日本人の「知性低下」を露呈した東京五輪…政治家も官僚も私利私欲に走る
オリンピック開催招致のための票が買われる瞬間を目撃したことがある。いまから四半世紀近い昔のことだ。 当時懇意にしていた超やり手広告マンのAさんと海外にご一緒した際に、「お客さんと食事をするの…
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政治を信頼しない国民と強権発動する政府との終わりのない堂々巡り
「自公以外に投票」という言葉がツイッターでトレンド入りした。我慢の限界に達した飲食店の怒りを端的に表したワードが、ネットで拡散したのだ。もはやこの政府を信頼している日本国民はいないのではないか。ウソに…
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音大生もアスリートも「定員割れ」する危険性 長い“第二の人生”への不安払拭の術は?
全国に音楽学校の卒業生は何人いるのだろうと思って調べたことがある。大学や専門学校などを合わせて、その数はざっと2万人。これには驚いた。その2万人の音楽を学ぶ若者全員が、プロの音楽家になって一生食って…
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日本人は「外圧」でしか変われないのか 幕府の存続が最重要課題だった江戸時代と同じ体質
猪瀬直樹さんの「昭和16年夏の敗戦」によると、1941年、日米開戦を目前にしていた東条英機率いる政府は事前の研究者たちの分析で「日本必敗」を知っていた。東条はそれを「実際の戦争とは違う」と切り捨てた…
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才能の差などほんのわずか…全てを振り切ってやり続ければ誰でも「天才」になれる
大谷翔平は天才だ。だが、「誰でも彼のようになれる可能性を持っている」と言うと、驚かれるだろうか。 大谷選手はこれまでに23本のホームランを放ち、投手としても3勝を挙げる快進撃だ。先日は週間M…
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「第九」理解せず共感 情緒に流され足元を見られた日本人
日本人は情緒に流されやすい。音楽でも何でも、情感に訴え心を揺さぶるものを好む。反対に西洋人は音楽も芸術もロジックであり、メッセージのあるものを評価する。 【写真】この記事の関連写真を見る(35…