医療数字のカラクリ
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標準的な治療を保険診療の範囲内で行うのが先決
前回、「(治療の)体験談は怪しい」という話を書きました。体験談を語っている人は、健康食品やサプリメントの会社からお金をもらって頼まれているかもしれないからです。 ただし、がんのように放ってお…
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健康食品やサプリメントの広告 “著名人の体験談”は怪しい
健康食品やサプリメントなどの広告で必ず登場するのが、使用してみた体験談です。それを語るのが著名人というパターンもよくあります。 しかし、体験談なんてものはそもそも怪しいものです。体験談を語っ…
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真実か都市伝説か…「新月の夜は犯罪が多い」の真偽
昨年秋に発行された「天文犯罪医学」という雑誌に、「新月の夜には犯罪が多い」という論文が発表されました。皆さんはこれをどう考えるでしょうか。 “新月で暗いため犯罪が起きやすいのかも”“街路灯を…
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がん患者に見る「雨乞い効果」と「治療効果」
進行がんに対してある治療をしたら、1年後に全員が生きていたというような話を聞いたことはありませんか。大抵の人は「治療のおかげで生き延びることができた」と考えるはずです。しかし、実際に「治療のおかげで…
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診断技術がアップすると生存率が伸びる
検査によって治療できるわけではありませんが、診断技術が進歩すると、がん患者の生存率が一見、よくなったようなデータが示されます。ちょっとややこしい話ですので、よく考えながら読んでください。 例…
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がん患者の“生存率” 誰を対象に計算すればいいのか?
「生存率」を正しく調べるのは実は大変です。明らかなインチキでなくとも、いろいろな問題があって評価が難しいのです。 ある抗がん剤治療を行った進行がんの患者の1年後の平均生存率を報告している研究を…
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「生き残った人だけの治療法」に意味はない
これまで、患者さんの「行く末」を示す数字のさまざまな見方を示してきましたが、今回からはそうした数字がどのような研究に基づいているのかを見ていきましょう。 医療にかかわる数字のカラクリを明らか…
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余命宣告は数字の希望の側面を照らすことにある
生存率の数字のカラクリについて長々と書いてきましたが、結局のところ「個別の患者さんがどうなるかはよくわからない」ということだけがハッキリしたような状況です。 進行がんの行く末について、「6カ…
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進行がんの余命は死刑囚の執行日予測と同じくらい難しい
生存率にまつわる数字のカラクリを長々とみてきましたが、これまでのポイントを一度まとめておきましょう。 生存率を平均値だろうが、中央値だろうが、90パーセンタイルで表そうが、どれも自分に当ては…
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余命宣告を受けた後の生き方
前回、「明日は生きているか死んでいるかのどちらかだ」などと書きましたが、現実はそう単純ではありません。 同じ生きているといっても、普通に生活できている場合もあれば、ほとんどベッドで寝たきりと…
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余命宣告の数字は他人のデータ
数字で示される余命は、自分に当てはまるかどうかわかりません。そのデータはあなた自身の人生から導き出されたものではなく、あなたに似た患者を集計して求められたものである上に、そのまた平均的な数字に過ぎな…
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進行がん「治さない方がいい」とも言い切れない
前回は「進行がんと宣告されたら、残りの時間は全部、自分のために使った方がいい。治療なんか無駄だ」というニュアンスで書きました。しかし、現実はそう簡単ではありません。 「頑張って6カ月、治療に集…
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余命は長さよりその中身が大切
「“余命”は平均で表せるような単純なものではない」と繰り返し書いてきましたが、今日は余命自体について考えてみたいと思います。 一言で余命といいますが、実はその中身は多種多様です。ベッド上で寝た…
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「生存率8カ月」と宣言され20年生きた生物学者
米国の進化生物学者・グールドの「がんばれカミナリ竜」(早川書房)という本に「メジアン(中央値)はメッセージではない」という生存曲線についての興味深い記述があります。 グールドは40歳の時に腹…
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「肺がん」は1年半で90%死ぬ 「乳がん」は10%以上が10年以上生きる
先週の肺がんに続き、今回は乳がんの生存曲線を見ていきましょう。前回、取り上げた転移のあるステージIVの肺がんの生存曲線に合わせて、乳がんも遠隔転移のある最も進行した段階のステージIVを取り上げましょ…
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あてにならない「余命宣告」
今回は肺がんを例に、実際の生存率を見ていきましょう。 進行肺がんのうち、他の臓器に転移があるようなステージⅣと呼ばれる最も進行したグループの生存率を見ると、生存期間の中央値が6カ月、平均が7…
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「余命6カ月」の本当の意味
医師ががんの患者に対し、「余命6カ月です」などと説明する場合があります。今回はこの「余命6カ月」という説明について、これまで使ってきた指標を用いながらさまざまな角度から考えてみたいと思います。 …
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標準偏差の異常が発端だったディオバン事件
「ディオバン事件」からはや2年、忘れてしまった方が多いかもしれません。「ディオバン」という血圧を下げる薬の効果を検討するに当たり、日本人を対象とした研究データの捏造が明らかになった事件です。 …
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ばらつきの重要性
これまで平均や中央値、パーセルタイルについて説明してきましたが、今年8月の東京都のある市の気温は、それらを理解するのにもってこいの数字でした。そこで今回は、気温を使って3者の関係を改めて紹介します。…
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パーセンタイルで見えてくるもの
これまでに平均値、中央値について説明しました。今回はさらに進んで、もうひとつの指標を紹介しましょう。中央値というのは、データを小さいものから順番に並べたときに真ん中に位置するデータだと説明しました。…