医療数字のカラクリ
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HbA1cの値と死亡率との意外な関係
これまでお話ししたように、糖尿病治療による寿命の延長ははっきりとは示されていません。このことは1~2カ月の血糖値の平均値を表すHbA1cと死亡の関係を検討した研究を見ても明らかです。 3万人…
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糖尿病の薬で寿命が延びないワケ
薬で厳しく糖尿病治療をしても寿命を延ばす効果がない、あるいは寿命を短くするかもしれないことが、多くの研究で示されています。なぜそんなことになるのでしょう。 ひとつは低血糖です。人の生命活動のエ…
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薬による糖尿病治療 長寿は証明されず
糖尿病患者は健康な人と比べて平均10年程度、寿命が短いといわれています。そこで、なんとか血糖を正常に近づけ、寿命も健康な人に近づけようと、食事や運動に気をつけて、薬で血糖を下げて、と頑張るわけです。…
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メトグルコの副作用
これまで、糖尿病の治療薬「メトグルコ」についていい話ばかりを書いてきましたが、やはり副作用もあります。嘔吐、吐き気、食欲低下はよく見られる副作用ですが、これらは投薬を中止すれば改善します。それに対し…
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安く効果のある薬が使われていない
メトホルミン(商品名メトグルコ)は糖尿病合併症予防効果が最も明確に示された薬ですが、インスリンの効きをよくするという点でよく似た薬にピオグリタゾン(商品名アクトス)という薬があります。 メト…
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薬の追加は逆効果 死亡率が跳ね上がった
インスリンの効果を促進するメトグルコの合併症予防効果を明らかにしたUKPDS33(英国前向き糖尿病研究33)では、もうひとつ別の検討がなされています。 最初に「スルフォニル」尿素(商品名ダオニ…
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糖尿病の合併症リスクを減らす薬の飲み方
UKPDS33(英国前向き糖尿病研究33)で糖尿病合併症の予防効果を示した「メトグルコ」という薬について、その使い方をもう少し細かく見ていきましょう。 研究では、最初に850ミリグラムという量…
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「薬で糖尿病の合併症が減る」の根拠
これまでは血糖を集中的に下げる治療の効果を取り上げてきました。今回からは、具体的な糖尿病の治療薬についてお話ししましょう。 最初にメトホルミン(商品名メトグルコ)です。この薬はビグアナイド系…
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「相対的に合併症が減った」という指標の意味
UKPDS33(英国前向き糖尿病研究33)では、糖尿病の全合併症が年率4・6%から4・1%に減ったという結果でした。 この2つの数字からさまざまな治療効果の指標が計算されます。 まず割…
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厳格コントロールだと低血糖が増える
糖尿病患者さんの入院のうち、血糖が上がり過ぎることによる入院と、下がり過ぎることによる入院では、どちらが多いと思いますか。あるいは、血糖の上がり過ぎと下がり過ぎでは、どちらが緊急を要する事態でしょうか…
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薬を減らし体重を増やさない方がマシ!?
一般的にUKPDS33(「英国前向き糖尿病研究33」)は、厳しい血糖治療によって合併症の予防ができることを証明した研究という位置づけです。 しかし、実際に行われた治療の詳細や、合併症予防につ…
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治療は最小限の薬にとどめ空腹時血糖に一喜一憂しない
これまで厳しい血糖コントロールの治療とそうでない場合とでは、合併症にどんな違いが出るかを見てきました。今回は、そもそも厳しい血糖コントロールの治療、緩い治療とは何を指すのかを見てみましょう。 …
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心筋梗塞や脳卒中の予防効果は不明のまま
前回に続き、UKPDS33(「英国前向き糖尿病研究33」)で評価された糖尿病の合併症について詳しく見てみます。 この研究で設定された糖尿病合併症は、突然死、高血糖低血糖による死亡、心筋梗塞、…
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血糖コントロールは緩くてもいい
先週ご紹介したUKPDS33(「英国前向き糖尿病研究33」)をもう少し詳しく見てみましょう。この研究は血糖正常化を目指して厳しく血糖コントロールを目指すグループと、それほど厳しくコントロールしないグ…
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「100の合併症が88に減る」は厳しい治療に見合うものなのか
1995年の熊本研究に続いて、98年に新たな糖尿病の研究報告が行われました。血糖を集中的に下げて、糖尿病の合併症全体をどれほど予防できるかを検討したランダム化比較試験で、イギリスから報告されました。…