医療情報の正しい読み方
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複数の研究をまとめる「メタ分析」で情報の怪しさを明らかに
1つの研究では偶然にいい結果が出るという可能性があります。大して効かない薬でも、まぐれでプラセボに勝ってしまうことがあるというと、わかりやすいでしょうか。 前回紹介した抗インフルエンザ薬の研…
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自然に治る病気に対する薬の効果を検討するのは簡単ではない
治療をしないと100%死んでしまう、治療をすれば死亡率0%というような治療効果は、手間のかかる研究を行わなくてもその効果は明らかです。それに対し、インフルエンザのように大部分は自然に治ってしまう病気…
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インフルエンザ治療薬の効果を知るには厳密な試験が必要
治療効果についての情報は「二重盲検ランダム化比較試験」の結果が重要ですが、インフルエンザの治療薬を例に、実際の研究を見てみましょう。 この研究は、15歳から65歳までの症状の発症から36時間…
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ランダム化に加えてプラセボを使った「盲検化」も重要
治療の効果を科学的に評価するためには、試験管内の実験や人以外の動物での実験では不十分で、人間で何が起こるか観察するだけでも十分でなく、人間での「実験」が必要です。さらに治療するグループとしないグルー…
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観察研究ではダメ…実験としての「介入研究」の必要性
なぜ、薬の効果を調べるために「実験」が必要なのでしょうか。ただ観察するだけの「観察研究」ではだめなのでしょうか。 以前に、冷えとインフルエンザの関係で、冷えを報告した患者に乳幼児が多く、高齢…
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臨床研究の種類 「観察研究」と「介入研究」の違いはなにか
健康についての情報が役立つかどうかは、まず人間についての研究であるかどうかが第一で、人間全体を対象にした「臨床研究」であることが最低条件です。その「臨床研究」には、「観察研究」があり、その中に「記述…
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「地球温暖化」と「炭酸ガス濃度」と「平均気温」の関係
前回のラーメン店と脳卒中死亡の相関を見たのと同じタイプの研究に、二酸化炭素濃度と平均気温の関係を調べたものがあります。炭酸ガス濃度と地球温暖化の問題のもとになる研究です。この研究を「エコロジカルスタ…
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生態学的研究が見る「相関」は「因果関係」とは大きく違う
医学研究には観察研究という方法があり、その中には「事実、実態を示す研究」「原因と結果を検討する研究」があることを紹介してきました。今回はさらに別のタイプの研究です。 先日、「ラーメン店が多い…
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因果関係の基本 観察研究で分かること、言えること
症例対照研究とコホート研究は、原因と結果の関係を、交絡因子を調整したうえで検討する研究ということです。具体的には、「冷え」という原因と「インフルエンザにかかる」という結果を、冷え以外のインフルエンザ…
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コホート研究にもある重大なバイアス 「交絡因子」とは?
症例対照研究に結果をゆがめてしまうバイアス(編集部注=かたより)があるように、コホート研究(同=分析疫学の手法のひとつ。特定の要因に暴露した集団とそうでない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の…
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症例対象研究「後ろ向き」と「前向き」の意味の違いとは
前回紹介した研究は、インフルエンザ患者が受診した時点で、インフルエンザでない患者を対照として設定して比較するという方法です。インフルエンザという症例とインフルエンザでない比較対照を比較するという点で…
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臨床研究では「思い出しやすさ」で結果が歪められる場合も
関係を検討するためには比較対照が必須ですが、比較対照があればそれで済むかというと、そんな簡単な問題ではありません。 前回の「インフルエンザと冷え」の例で、もう一度考えてみましょう。ある日の外…
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「冷え」と「インフルエンザになる」関係を分析…何が必要か
前回、「今年は1カ月、例年よりインフルエンザの流行が早かった」という情報を使い「記述研究」の話をしました。 疫学研究には介入研究と観察研究があり、観察研究には記述研究と分析研究があります。 …
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「インフルエンザ流行」報道から考える臨床研究の全体像
巷に流れるさまざまな情報を吟味する際に、まずその情報の背景にある研究のチェックが重要です。さらにはその研究が人間を対象にしたものであるかどうかをチェックし、さらにその研究が人間の細胞や器官の研究でな…
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人の細胞や臓器を使ってもあくまで「基礎研究」に過ぎない
試験管や動物実験での研究から人間を対象にした研究までは長い道のりですが、人間を対象にした研究も、基礎的な研究から、実際の実用に至る研究まで、同様に長い道のりが必要です。 人間を対象にした研究…
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テレビ番組の最新健康情報になぜ飛びついてはいけないのか
試験管内の実験結果や、動物実験の結果があたかもすぐ人間にも役立つような情報として流されることがしばしばあります。「○○大学のグループがコレステロールの合成をブロックする物質を××から発見」という試験…
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「事実」は「論理」でなく人間の研究で示されることが必須
「論理」でなく、「事実」として示された情報を選ぼうということですが、この区別もなかなか難しい面があります。例えば「抗酸化物質であるβカロテンにがんの予防効果あり」という見出しを見ただけでは、論理なのか…
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その情報は「論理」なのか「事実」なのか…それがまず重要
情報を吟味する際にまず重要なことは、それが理論なのか、事実なのかという視点です。 例えば体内の酸素利用過程で生じる活性酸素は、がんや老化と関連しています。 その活性酸素による酸化過程…
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うのみはダメ…健康情報を選び、読み込み、使う困難さ
現代は情報であふれています。新聞は紙面全体が情報です。テレビをつけていれば、勝手にいろいろ教えてくれます。スマホをちょっといじれば山のような情報が手に入ります。そのあふれる情報を選択し、うのみにせず…