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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

復興と呼ぶには程遠い NHKスペシャルが伝えた被災地の現実

公開日: 更新日:

 東日本大震災から7年目の3月11日午後、民放各局が特番を放送した。日本テレビ系「東日本大震災から7年…災害の新常識」。TBS系「震災7年~生死を分ける72時間 巨大地震にあなたは?」などだ。

 いずれも今後発生するといわれる巨大地震にどう対応するかという内容が中心だった。もちろん意義のある番組ではあるが、東日本大震災が“過去の事例”であるかのような印象が強い。だが、果たしてあの大震災は終わっているのか?

 この日の夜、NHKスペシャル「めざした“復興”は今…震災7年 被災地からの問いかけ」を見て驚いた。伝えていたのは復興と呼ぶには程遠い現実の姿だ。

 被災地の復興事業に投じられた予算は32兆円。津波対策として高く土を盛って住宅地を造成する「かさ上げ」や、仮設住宅に替わる災害公営住宅の建設が進められてきた。しかし実際には区画整理事業のシステムが住民の実情と合っていなかったり、災害公営住宅の入居者が高齢者ばかりだったりと問題山積なのだ。

 また福島県飯舘村では学校を建設したが、避難先での時間が長くなった親たちは生活基盤を移すことをためらう。放射能への不安も消えていない。春から戻ってくる生徒はもともとの100分の1だ。政府の「復興の総仕上げの段階にある」という見解が、悪い冗談に思えてくる震災特番だった。

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