ヒット映画「Fukushima50」よりも秀逸で見直されたNスペ
東京電力福島第1原発の事故を描いた映画「Fukushima50」は、新型コロナ騒動で映画館から足が遠のいているなかでヒット中だ。
津波や水素爆発などのCG映像はダイナミックだし、人間ドラマも感動的に仕上がっていて、アクション映画として十分楽しめると好評なのだが、「なんか、見たことがあるシーンばっかり」という声も聞こえる。
そうなのだ。NHKスペシャル「シリーズ メルトダウン」で、映画とそっくりの場面がこれまで何度も放送されているのである。Nスぺは事故のあった2011年の12月から、番外編も含めて、これまで10回ほどメルトダウンを取り上げてきた。事故の実態と原因を、メカニズムだけでなく、関係者の知識不足や危機感の欠如などまで深掘りしたドキュメンタリーとして、評価は高い。
とりわけ、16年の「原発メルトダウン 危機の88時間」は、大杉漣を吉田昌郎所長役にしたドラマ仕立てで、地震発生からなすすべなく放射性物質を放出するまでの現場の大混乱を再現した。実際の映像や音声も挟み込んで、日本がいかに危機的な状況だったかが描かれた。「Fukushima50」はこのNスぺと、ストーリー展開も挿入されているエピソードもほぼ同じだ。