永田町の裏を読む
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「もしトラ」の毒気は、すでに日本にも回り始めていることに警戒せよ
「もしトラ」という世界中の人々の心配は、いよいよ現実となりそうである。 トランプ前大統領が共和党の予備選で勝利を収めることがほぼ確実となり、他方で再選を目指すバイデン現大統領には高齢化に伴う認…
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小選挙区制の利点を生かし、政策論争を盛んにするための5カ条を列記する
先週の本欄で、せっかく小選挙区制を導入しても、それを生かして政策論争を盛んにするようなインフラ整備を怠ったのが失敗だったという趣旨のことを述べたところ、数人の読者から賛同の意見が寄せられた。A氏は「…
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派閥解消だけで抜本的な「政治改革」は実現しない
長年にわたり無派閥で通してきた自民党のベテラン議員に言わせれば、「派閥っていうのは『55年体制』の遺物というか悪しき遺産の最たるもので、それが今まで残っていること自体がおかしいという認識を出発点にし…
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漫画家・芦原妃名子さん逝去…簡単に人の命を奪うネット社会の怖さとリテラシー問題
著名な漫画家が自作のテレビドラマ化に当たって、テレビ局側が用意した脚本家とトラブルになり自殺したという痛ましい事件で、何より驚いたのは、原作者であるその漫画家がそこに至る事情を語ったSNSで、相手の…
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二階俊博と世耕弘成…正反対の2人がともに深い傷を負った「和歌山戦争」の行方
和歌山県在住の知人から面白い話を聞いた。裏金問題で袋叩きの対象となり、派閥の解散が決まった二階俊博・元自民党幹事長がさぞかし落ち込んで、早々と引退準備に取り組んでいるのかと思いきや、「とんでもない」…
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共産党初の女性党首就任 それでも党勢後退に歯止めがかかりそうにない
共産党が先ごろの党大会で、23年間もその座にあった志位和夫委員長に代えて田村智子副委員長を抜擢し同党初の女性党首に据えたのは、“刷新”感を演出して党勢後退に歯止めをかけようという狙いからのことだった…
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「あまりにも古色蒼然」時代錯誤な自民党・麻生副総裁の国際社会二分論
「麻生太郎自民党副総裁って、まるっきり前世紀の遺物、冷戦時代の化石だね」と、ワシントン在住の旧知の米国人記者からメールが入った。 麻生は今月、米共和党系の老舗のシンクタンク「大統領職・議会研究…
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日本は力を失いつつある米国に追従して一緒に堕ちていくのか
旧知のベテラン野党議員は勉強家で、たまにしか会わないがそのたびに新しい情報や視点を与えてくれる貴重な存在である。先日はこんなふうに語り始めた。 「IMFの購買力平価によるGDPランキングの統計…
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すべてがドン詰まった自民党の年の暮れ
久しぶりに自民党のベテラン秘書氏に電話をすると、「いやあ、岸田文雄首相の命脈はもはや尽きたね」と、のっけから手厳しい。 「だってそうでしょ、最大派閥の安倍派におんぶに抱っこで政権維持を図ってき…
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大臣が法の裏をかくような「法匪」の輩では国は滅びる
今回は、高校生に戻ったのかと言われてしまうかもしれない「青臭い」話をさせていただく。 民主政治の根幹は言うまでもなく「法の支配」である。マックス・ウェーバーの言う「合法的支配」とは、支配する…
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「前原新党」が一大野党勢力出現へのトリガーにならない理由
国民民主党の代表代行を務めていた前原誠司衆院議員が離党して、「教育無償化を実現する会」という新党を結成するという。永田町内の「付いた離れた」の噂話を得意とする政界漫談業界では、前原新党のインパクトは…
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岸田首相は本当に「外交が得意」なのか? 元外交官の冷ややかな答え
よろず行き詰まっている岸田文雄首相が、最後の局面打開策として賭けているのが「得意な外交」だそうで、そのため外務省を駆り立てて「国賓待遇による米国訪問」を来春にも実現しようと躍起になっている。 …
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「老いぼれに率いられた子供っぽい集団」に盲従する日本の情けなさ
フランスの代表的な知識人であるエマニュエル・トッドが月刊「文芸春秋」12月号に「米国はウクライナ戦争ですでに敗北している」と書いている。この見出しを目にしただけで誰もが「えっ?」と思うのは当然で、少…
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アベノミクスに縛られて予測を間違え続ける「物価の番人」日銀の悲惨
11月8日の衆院財政金融委員会の質疑で立憲民主党の階猛議員が、「税増収分を還元して減税する」との岸田文雄首相の言い分について、そのような財源は存在しないという答弁を鈴木俊一財務相から引き出して大いに…
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ハマスを「テロリスト」と呼ぶことを拒むイギリスBBCの報道姿勢
東アジア共同体研究所(鳩山由紀夫理事長)は毎週月曜日夜8時からユーチューブで「UIチャンネル」と題した時事討論番組を放映していて、同研究所の理事・研究員である私も時折出演している。6日は私の当番で、…
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鈴木宗男参院議員の訪ロ騒動で露呈した「国際感覚の貧困」
鈴木宗男参議院議員が10月初めにロシアを訪問し、2人の外務次官や議会の外交通などと高度の意見交換をしてきたことについて、ネット上では「国賊」「売国奴」「ロシアのスパイ」といった非難が巻き起こり、それ…
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野党が統一候補を立てれば自民に大打撃を与え得ることがますますはっきりした
22日に行われた衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区のダブル補選について、NHKなどは「自民1勝1敗で引き分け」というような言い方をしているが、それは違うだろう。両方とも自民が持っていた議席だったのに…
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角川歴彦KADOKAWA前会長が綴った 前近代的な「人質司法」が今なお罷り通っている事実
角川歴彦=KADOKAWA前会長が月刊「文芸春秋」に寄稿した「わが囚人生活226日」を読み、改めてこの国の検察体制の前近代的とも言える反人権的な「お上体質」に心の底からの怒りが湧いた。 実を…
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日本政府の「辺野古基地」強行はあまりにも時代錯誤
沖縄の辺野古海兵隊基地の建設をめぐって、玉城デニー県知事と日本政府との対立がますます深まっている。 滑走路を建設するため東側の大浦湾上を埋め立てる計画になっていたが、その海底部分に「マヨネー…
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際どい交渉プロセス 日中国交回復にこぎ着けた周恩来と田中角栄の丁々発止
李海文主編・村田忠禧(横浜国大名誉教授)監訳「周恩来の足跡」(社会評論社、2023年7月刊)が面白い。李以下8人の執筆者は中共中央の「党史・文献研究院」に籍をおく中国現代史の研究者たちで、彼らが収集…