日本から世界へ広がる「N-NOSE」現在地と今後の可能性 後悔しない明日のために、知っておきたい「がん」のこと~HIROTSUバイオサイエンス
将来的なビジョンは
線虫によるがんリスクの早期発見サービス「N-NOSE」(エヌノーズ)が医学界を中心に、大きな注目を集めている。
現在までに国内ですでに60万もの人が受検しているというが、同サービスを扱っているHIROTSUバイオサイエンスは現状に決して満足しているというわけではない。将来を見据えて積極的に事業を進め世界を視野に展開を検討しているという。
そこで今回は同社の重要なポストを担っているキーパーソン2人と「N-NOSE」の今後を探ってみることにした。
「N-NOSE」の価値観・コンセプトの浸透度はまだまだ
2020年のサービス開始以来ここまで様々な展開を実施し、順風満帆に歩んできた感のあるHIROTSUバイオサイエンス社。
しかし、同社の最高技術責任者を務めるエリック・デルクシオ氏は、「たしかに『N-NOSE』はこれまでに60万人という多くの方に受検していただき、今現在国内2000社を超える企業様にご契約をいただくまでになっています。しかし、まだまだ解決しなくてはいけない課題がいくつもあるのです」と語る。
「前にもお話ししたように、がんという病気は早期発見・早期治療が何よりも大切です。そのためには『N-NOSE』を1人でも多くの方に使っていただきたいのですが『N-NOSE』自体が先進性のある商品がゆえに、その特性やコンセプトを全ての人に伝えきれていない感があります」
確かにN-NOSEを知らない人はまだまだ沢山いるのが現状だ。「虫で本当にがんリスクを嗅ぎ分けられるのだろうか?」と「N-NOSE」に対して懐疑的な声が上がることも少なくはない。
「今はまだ『N-NOSE』に懐疑的な方、がんリスクをチェックする検査サービスとして認識されていない人たちが徐々にサービスの特性やコンセプトを受け入れて、定期的に『N-NOSE』を受けていただけるようになること、社会に『N-NOSE』というサービスを浸透させてゆくこと。それが今、私たちがやらなくてはいけないことだと考えています」
エリック氏は現状を理解しつつも前向きである。
絶え間なく続く研究開発
「N-NOSE」は稀有で、可能性に溢れたサービスであることは間違いない。
日本のみならず世界的に人口高齢化が進む中、がんの罹患者数が2050年までに3500万人に達するとの予測が米国がん協会からも発表されており、一次スクリーニングサービスである「N-NOSE」への注目度は高い。
HIROTSUバイオサイエンス社ではそれに満足することなく「もっといいものをもっと手軽に」というユーザーニーズに応えるべく日々研究を進めている。それは先のエリック氏の言葉にもあった通りだ。
「現在の『N-NOSE』は、いわばバージョン1.0。現在開発を進めているのはバージョン2.0でその先にはバージョン3.0を視野に研究を重ねているところです。現在提供しているサービスも初期のものから大きく進化していますが、その次のステージを現実のものにするためにはこれからAIの力がとても大きいと考えています。今後はAIを有効的に使うことで現在よりも検査の精度が上がり、さらに遺伝子操作等の技術を使って優れたパワーを持った特殊線虫を作り出していきたいと考えています。それが成功のカギを握っていることは間違いないでしょう」と意気込むエリック氏だが、当然そこにも課題はある。
人の手に届かなければ何の意味もない
「N-NOSE」の開発を進めていく上で最も大きな問題となってくるのは研究でいかに素晴らしい成果が上がったとしても、それを実用化して認知拡大させなくてはならないということだろう。
「大学の研究室での成果を大規模化して、それを世の中の多くの人に届けなくてはいけないということが、私たちが進めている事業の中で最も難しいことといえると思います。いくら大学で素晴らしい研究結果を得ることが出来たとしても、それが人の手に届かなければ何の意味もありませんから」とエリック氏は続ける。
そしてもちろん、私企業であるHIROTSUバイオサイエンス社にとってはビジネスとして成功させなければならないという側面もある。
「『N-NOSE』のメリットとして現段階でも手軽な価格で提供できるサービスであるということが挙げられます。どんなに素晴らしいものであってもそれがとんでもなく高かったりすれば人々の間に広まっていきません。正直いって研究開発にコストがかかることは事実ですが、それをいかに抑え、皆さんが気軽に利用できる価格を設定することができるかも私たちに与えられた課題の1つであると思っています」とエリック氏は言葉に力を入れる。
全ては人々のために
今さら改めていうまでもないが、がんは日本特有の病気ではなく世界中に多くの患者がいる病気だ。2022年には全世界で推定2,000万例あり、今後も増加すると言われている。何よりも大切なことは早期発見・早期治療であることは日本も海外も変わりない。
そこで、今後の展開も含め、同社の山本英治副社長に話を聞いた。
「弊社の広津が海外で『N-NOSE』についての講演を行うと、とても評判が良くて期待の声をたくさんいただくそうです。特にいわゆる発展途上とされているような国では、この検査ですと尿を採るだけという簡便で、しかも手軽な価格でサービスが提供できますから期待の声がより高いのも当然かもしれません」
「日本人だから、外国人だからという分け隔てなく世界中の人たちにも『N-NOSE』を気軽に使ってもらえるようにすること、それは弊社にとって必ず達成しなければならない創業当時からの目標でもあるのです」
ただ、そのためには現地で販売するだけではなく検査拠点を設ける必要があり、同社にとってはその実現が次に目指すべきステップといえるだろう。
たしかにハードルは決して低くはない。しかし、それが現実のものとなった時、世界中の人々はがんの恐怖から逃れることができる日が近づいていることを実感できるかもしれない。
さらに、山本副社長は続ける。「がんの早期発見がなぜ大事なのかといえば、がんになって一番辛い思いをされるのはもちろんご本人ですが、同時にご結婚されていればご家族に、そうでなければご両親にと、回りの人たちにも大きな影響を与えることになるからです」
がんは決して一人で背負いきれる病ではない。山本副社長の言葉に一層情感がこもった。
「以前、自分の近くいた仲間ががんになったのを知った時、私はそのことを痛感しました。『N-NOSE』は、まさに『自分を支えてくれる人たちのために』必要不可欠なものではないでしょうか。世界中の人々にがんを恐れない世界を提供するためにもこれからも積極的に活動していきたいと思っています」
新たな思い、そしてこれから
最後にエリック氏は「広津が『線虫』の研究を始めた時、1人でも多くの人に使ってもらいたい、人々の命を救いたいという『全ては人々のために』との気持ちでスタートさせました。『N-NOSE』が実用化された今でもその想いが変わることはありません」と新たな思い、決意を教えてくれた。
今後、世界展開を視野に販売拡充していく「N-NOSE」。日本のみならず、世界中の多くの人々の手に届く時は近いのではと記者は感じた。
「N-NOSE」はネットや薬局などで、購入可能となっている。
価格は定期検査コースなら1回1万5800円(税込)。1回検査コースなら1万6800円(税込)【つづく】
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■提供:HIROTSUバイオサイエンス「N-NOSE」