名作でよむ破綻した近未来
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「AKIRA」(全6巻) 大友克洋著
1982年12月から90年6月にかけて「週刊ヤングマガジン」で連載された。 1982年に関東地区に新型爆弾が投下され東京は壊滅。それを引き金に第3次世界大戦が起こる。物語は復興途上にある20…
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「光る風 1970」 山上たつひこ著
1970年4月から11月にかけて「週刊少年マガジン」で連載された。昭和○○年、S県藻池村で原因不明の奇病が発生、700人を超える死者が出る。その後、一帯で生まれた赤ん坊の8割にこの藻池奇形症が表れる…
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「R帝国」中村文則著
2016年5月から17年2月まで新聞連載された。「朝、目が覚めると戦争が始まっていた」というカフカばりの一文から始まる。近未来の島国R帝国が隣国のB国に宣戦布告したのだ。さらにY宗国のテログループが…
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「侍女の物語」 マーガレット・アトウッド著・斎藤英治訳
ノーベル文学賞候補としてよく名前が挙がるカナダの作家が1985年に発表した作品。 舞台は米国のキリスト教原理主義一派がクーデターで政権を奪取し、創建した全体主義国家、ギレアデ共和国。出生率の…
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「華氏451度」 レイ・ブラッドベリ著、伊藤典夫訳
本書の執筆は1953年。SFの巨匠が描くのは、人間にものを考えさせてしまう本は有害であるとして一切の所有が禁止された未来社会の恐怖を描く。 ガイ・モンターグは、個人が隠し持つ本を見つけては焼…
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「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳
2005年の作品。1990年代末の英国が舞台で、語り手のキャシー・Hは現在31歳。11年以上も介護人を務め、彼女が介護した提供者の回復ぶりはみな期待以上だという。しかし「介護人」「提供者」とは何なの…
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「すばらしい新世界」 オルダス・ハクスリー著、黒原敏行訳
1932年に発表された本書の舞台は西暦2540年。この未来社会は計画的な大量生産のフォード・システムを至上とし、生殖までもが徹底管理されていた。子どもはすべて人工授精によって〈壜(びん)〉から生まれ…