「すばらしい新世界」 オルダス・ハクスリー著、黒原敏行訳

公開日: 更新日:

【全体主義】

 1932年に発表された本書の舞台は西暦2540年。この未来社会は計画的な大量生産のフォード・システムを至上とし、生殖までもが徹底管理されていた。子どもはすべて人工授精によって〈壜(びん)〉から生まれ、細胞分裂の段階で操作を施しアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロンの5階級に振り分ける。階級に応じて知的労働、単純作業などの仕事を割り当て、不満が出ぬよう長時間にわたる条件反射育成(洗脳)が行われる。しかし、最上層階級アルファに属するバーナードとヘルムホルツは、〈蛮人保存地区〉のジョンと出会うことでこの国のあり方に疑問を感じ始める……。

 強圧な管理社会に、不便で不幸になる権利があると異を唱えるジョンを通して、全体主義の危険性を提示した古典的名著。

(光文社 1060円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動