「リング」売れたが…ホラー映画製作会社倒産の“厳しい実情”
「リング」「らせん」など大ヒットホラー映画を手掛ける製作会社「オズ」が9日に、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。民間調査会社によると、ここ最近、ヒット作に恵まれなかったことが大きな原因だという。
「オズ」は映画プロデューサーの一瀬隆重氏が1989年に設立した。98年の「リング」「らせん」のほか、03年公開の「呪怨」はリメーク作が全米興行収入1位を記録するなど大ヒット。07年6月期には売上高19億5764万円を挙げた。
一瀬氏は11年1月の本紙インタビューで「Jホラーが大鉱脈になるとは思ってもみませんでした。ただ、『リング』は、日本で当たった以上に海外でウケた」と手応えを語っていた。ハリウッドでも注目を浴びるほどの名プロデューサーが、「なぜ?」である。
「東宝や東映などの大手は不動産を持っていることもあり、副収入が経営を支えている部分があります。しかし、製作のみを手掛ける会社は、ヒット作を出し続けなければ、売り上げに直結します。一瀬さんほどの人物でも、会社を存続させるのは簡単なことではありません。また、ここ最近は『超大作』か、『マニアック』か、映画ファンの嗜好が二極化しています。『リング』や『らせん』は中間に当たる作品であるうえ、ホラーブームも去りつつある。相当斬新で新しいものを打ち出さなければ、飽きられてしまう部分もあるでしょう」(映画批評家の前田有一氏)
「リング」の貞子といえばジャパニーズホラーの定番キャラで、始球式に登場したり、パチンコ・パチスロにも採用されている。しかし、著作権は原作者にあるから、製作会社にはロイヤルティーは支払われない。なんとも難しい商売である。