経済ジャーナリストが語る「なぜ今、新・一番搾りが好調なのか」
キリンビールがこの7月下旬製造品から4年ぶりにリニューアルした主力の「キリンビール一番搾り生ビール」(以下、一番搾り)が好調だ。9月単月は特にトライアルが増え、缶製品は前年比21%増、それを受け10月は当初の予定から約1割増産するという。
不調なブランドのテコ入れ策として実施されることも多いリニューアルだが、一番搾りはこれまで3年連続で前年出荷量を超える(一番搾りブランド計)など、比較的好調に推移していた。それでもあえてリニューアルに踏み切ったのはなぜか? 経済ジャーナリストの永井隆氏はこう言う。
「この時期にリニューアルした背景には、6月に導入された酒の安売り規制による需要減に歯止めをかけたい狙いもあるでしょうが、やはり発泡酒と第3のビールを含むビール類の酒税改正が控えていることが大きい。ビールの酒税は2020年から段階的に引き下げられ、350ml缶は現在の77円から2026年には54円25銭に一本化されます。しかも2020年は一番搾りにとって、発売30周年という節目の年ですから。また、クラフトビールがブームになるなど、いまビールはおいしさにも大きな注目が集まっています。新しい一番搾りがリニューアル直後から好調なのも、より上質な麦のうまみを求めるビールファンに支持されているからでしょう」
雑味・渋味を低減し「麦のうまみ」がアップ
一番搾りはご存じの通り、一番搾り麦汁のみを使う「一番搾り製法」で造られるビール。今回のリニューアルでは、その麦のおいしいところだけを搾る「一番搾り製法」をベースに、雑味・渋味を低減し、「麦のうまみ」がアップ。”上品な麦のうまみ”が感じられる味わいとなった。この味わいを実現するため、全ての醸造工程を見直しながら、ギフト限定の「一番搾りプレミアム」にも採用している技術「低温麦汁ろ過技術」を新たに採用。開発工程では100名の技術員を動員して1000回を超える試験醸造を行い、おいしさを追求したという。
新旧の一番搾りを飲み比べてみると、新一番搾りは麦のうまみがより豊潤に、渋味が程よく抑えられて、“すっきりとした飽きのこない味わい”になったと感じた。
キリンが全国7都市で開催した「新・一番搾り『おいしい!』体験会でも評判は上々で、ツイッターには<色々な料理にも合いそうです><スッキリしてて美味しかった!><これぞ日本のビールの真骨頂!>といった声が続々寄せられた。
「一番搾りが長く愛されてきたのは、キリンの他のビールの1.5倍もの麦を使用し、同社の高い技術力に裏打ちされたプレミアム感の高い麦芽100%ビールだからです。それがリニューアルでは麦のうまみがさらに洗練されたのですから、新たな“一番搾り党”を獲得できるのでは」(永井隆氏)
新しくなった一番搾りの特設サイトでは、開発者のこだわりがより詳しく知ることができるし、堤真一や満島ひかり、鈴木亮平、石田ゆり子など豪華俳優陣を起用したCM動画も閲覧可能。今宵は新しい一番搾りをプシュッ!と開けてグイッ!とやりながら楽しむといいだろう。