サウナの魅力
サウナに入ると身も心もシャキッとして復活する!
数年前から続くサウナブームはとどまるところを知らない。
これまでサウナーの中心だった中高年男性に加え、最近では若者層や女性にも広まっているが、中には正しい利用法を理解していない人もいるようだ。
そこで、筋金入りのサウナーとして知られる医師の石原新菜先生に話を聞いてみた。
サウナ歴は34年
私がサウナに入り始めたのは10歳の頃、父(医師の石原結實氏)がやっている伊豆の断食道場のサウナに入るようになりました。もう34年も前の話になりますね。最近はサウナがブームになっていますけど、その前からずっと今でもほとんど毎日入ってます。
仕事が終わると5㎞のランニングをやって、近くの銭湯に行って体を温めてからサウナと水風呂を2、3回繰り返すのが私のルーティン。スカッとして疲れが全部吹っ飛びます。すごく疲れていてもう今日は行けないなと思っても頑張って行ってサウナに入ると復活するんですよ。身も心もシャキッとして、このために一日頑張っているなあって感じで、もうそれが幸せなんです。
サウナには健康メリットがいっぱい
医師の立場からいうと、サウナって医学的にもメリットがすごくあるんですよ。体が温まる。免疫力が上がる。むくみが取れる。自律神経が整う。よく眠れる。
それと私たちの体には「ヒートショック・プロテイン」という損傷を受けた細胞を元の状態に戻す働きを持ったタンパク質があるんですけど、サウナに入るとこれがたくさん出てくるの。これも見逃せないサウナのメリットだと思いますね。
デメリットというのは特にないけど、注意しなくてはいけないのは今までサウナに入ったことのない人が無理をしちゃうこと。
サウナと水風呂を繰り返すのは、いわば血管を開いたり閉じたりするストレッチなんです。そのストレッチに慣れていない人が急にやると血圧が上がったり不整脈になったりするのでその点は注意してほしいですね。ただ、徐々に体を慣らしていって血管ストレッチをしっかりやれば初心者でも高齢者でも大丈夫。思う存分〝サ活〟を楽しめますよ。
注意すべきは「無理をしない」ことと「水分補給をしっかりやる」こと
サウナ好きの人がよく「ととのう」っていってサウナの魅力を語りますけど、同じ言葉で表現するのは悔しいので(笑)、別のいい方をすれば「水に流す」という言葉がありますけど、まさにそんな感じ。サウナに入って水を浴びると疲れが流されて元気になるんですよ。
医師の立場でいえばサウナは健康にいいんです。
フィンランドの研究だと1週間のうちサウナに入っている回数が多ければ多いほど肺炎などの感染症にかかりにくくなるという結果が出ていますし、たしか鹿児島大学の先生だったと思いますが、心不全の患者さんを60度の低温サウナで治したという事例さえあるんです。心不全の人はお湯に浸かっちゃうと水圧で心臓が圧迫されちゃう。でもサウナならそういう水圧とかがないから血管を広げて心臓の力を助けてあげることができるんですよ。高齢の方でも血圧が高い方でもサウナを楽しむことができます。
あと、もう1つ初心者だけではなくベテランのサウナーにも注意してほしいことがあります。それはサウナの前後、特に後には必ず水分をしっかり取るということです。この時、私なんかはサウナ後に一気に飲むビールがもう最高(笑)、って思っている人間なのでついビールを飲んでしまうのですが、ビールは糖分が含まれているしスポーツドリンクはそれ以上に糖分が多い。
だったらお水でいいんですけど、サウナに入るといっぱい汗をかいてその時、汗と一緒にミネラル分が出てしまっているので、それを補ってあげるということなら豆乳がいいでしょうね。私は豆乳が大好きでよく飲んでいます。
汗と一緒に出るミネラル分を豆乳で補う
牛乳と豆乳は同じようなものと思われるかもしれませんが、動物性飲料の牛乳と植物性飲料の豆乳とは全然違うものなんです。中に含まれる脂質にしても牛乳は血液をドロドロにしちゃう飽和脂肪酸なのに対して、豆乳に含まれる脂質はリノール酸とかアルファリノレン酸といった血液をサラサラにしてくれる不飽和脂肪酸ですし、食物繊維やビタミン、鉄分やマグネシウムといったミネラル類も豊富な上に植物性タンパク質も取れる。
汗をかくとどうしてもミネラル類が抜けてしまうので、それを補う意味でも豆乳はいいですね。私はサウナの後の飲み物として豆乳ほど適してるものはなくて、サウナと豆乳はセットにして考えてもいいんじゃないかと思っているほどなんですよ。
私のやり方ではサウナに夏は6、7分、冬なら10分入ります。その後、水風呂に温度にもよりますが、30秒から1分ぐらい入って1セット。これを3セットやるともうスッキリして次の日も頑張れるんですよ。
なかなかチャンスがなくてサウナに入ったことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ一度、体験してみてください。肉体的にも精神的にもすっきりして、その心地よさを味わえば絶対に病みつきになるはずですから。