捌きも調理も10分 魚食いの実況中継
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メジナは素早い下処理で“磯臭さ”を“香り”に昇華できる
メジナ科にあって和名のメジナは、属に「クチブト」「クロメジナ」「オナガ」と呼ばれる。関西では「グレ」と称し、釣り人だけでなく、高級料理屋でも人気だ。 東京ではなぜか、メジナを好む人が少ない。…
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「カサゴ」は抜けるように美しい白身の刺し身を食べたら…
カサゴは日本各地の岩礁域にいて、地方名が多い。見分けにくい仲間も多くいてカサゴ目の集団に分類されていたが、近年、スズキ目メバル科カサゴ属に整理された(「日本産魚類検索 全種の同定」2013年)。 …
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身が豊富なメイタガレイは煮つけでも干物でも食べ応えあり
両目の間に硬い骨質板がある「メイタガレイ」は、漢字で「目板鰈」と書く。水深数十メートルの砂泥底にいて、体長は15センチほど。ウロコがなく、つかみどころのないヌメリに下魚扱いされることもある。しかし、…
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「クロダイ」は金串に刺して火取りし皮つきのまま刺し身に
赤いマダイに対して、黒いクロダイ。日本でタイの名がつく魚は350種を超えるが、タイ科は13種ほどしかない。“あやかりタイ”が多い中で、クロダイは正真正銘のタイ科の魚だ。 本州以南の岩礁域にい…
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塩締めで水っぽさが抜けたイシモチの上質な白身をワサビで
一般にイシモチ(石持ち)と呼ばれるのは、内耳にある耳石が大きいからだ。スズキ目ニベ科の魚は17種あるが、関東ではシログチが最も多い。 東京湾なら、春のボート釣りだろうか。シロギス狙いに、シロ…
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ヒラメは1センチほどの厚さのサイコロ状に 塩ワサビで一杯
ヒラメやカレイの仲間は、体が平たく扁平(へんぺい)している。色の浅黒い方に両目があるから有眼側で、白っぽい方を無眼側という。どちらにも背部と腹部がある。目がある方を表、ない方を裏と呼びたくなる気持ち…
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背側を下にして…マゴチの薄造りは湯通しした胃袋を添えて
コチの名がつく魚の特徴は、背から押しつぶしたような体形にある。カレイは扁平(へんぺい)するが、コチの体は左右対称だ。マゴチは真ゴチ。市場価値において、この仲間を代表する。 ワニゴチ、トカゲゴ…
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バターのような脂の塊…カゴカキダイ塩焼きはワタを捨てず
港の岸壁などで、もっともよく見られる。10センチに満たない小魚で、黄色と黒の縦縞(たてじま)模様が目立つ。交ざって泳ぐ、白黒の横縞模様はイシダイの幼魚だ。 魚の縞模様だが、頭部から尾にかけて…
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タチウオは“刃”に注意 脂が煮えて銀色の表皮がふつふつと
英名をサーベルフィッシュ、長い金属のような輝きを持つ。夜間に表層の魚を捕食するため、「立ち泳ぎの格好をするから立ち魚」、いや「太刀魚だろう」など日本の語源は諸説ある。 タチウオは1・5メート…
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色鮮やかなアカアマダイを昆布締めと酒蒸しで味わう至福
スズキ目アマダイ科には、5種がある。最高級とされるシロアマダイと関東にも多いアカアマダイ、数まれなキアマダイが一般に知られるアマダイの仲間だ。 京都では「ぐじ」と呼ばれる。若狭湾から鯖街道を…
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アヤメカサゴのように顔の面白い魚は姿作りで
スズキ目メバル科は、40種を超す大所帯だ。「日本産魚類検索 全種の同定・第三版」(中坊徹次編・2013年)により、カサゴ目から独立した。 アヤメカサゴは20センチほどで、赤黒い模様をしている…
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5分ほど生茹した熱々のマダコを塩とコショウで食べる贅沢
「真ダコ」と書いてマダコは、北関東以南に広く分布する。三陸沖以北は巨大なミズダコやヤナギダコの天下だ。 西アフリカなどから大量に輸入されるタコもマダコと値札に書かれることから、日本産のマダコは…
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ムツ・クロムツ 煮つけは薄味で淡い甘みをそのまま楽しむ
スズキ目ムツ科ムツ属には、ムツとクロムツの2種がある。全身黒っぽくて大きな目、体形もよく似ているために両者ともそろって「クロムツ」と呼ばれることが多い。 ムツは褐色がかった黒色でウロコが大き…
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庶民の魚マイワシ 基本は手開きも鮮度抜群の極上は包丁で
マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシの3種がイワシ属と呼ばれる。それぞれ特徴ある中、共通するのは弱いこと。「鰯」と書かれることに納得する。サバやカツオなどに捕食されて、それらをマグロなどの大型魚が…
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塩も酢も3時間 シメサバの押し寿司は締めるほど美味くなる
一般にサバとは、マサバとゴマサバを指す。近年までマ(真)サバが本物、ゴマ(胡麻)サバの評価は非常に低かった。 マサバの漁獲が激減して、ノルウェー産が市場を席巻している時代だ。ゴマサバの価値が…
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実は冬が旬のサザエ 食べるのは足・貝柱・生殖腺の3部分
サザエは冬、アワビは夏を旬とする。産卵期の違いで、身が太ったり、痩せたりするわけだが、市場には年中あって馴染み深い。 直腹足亜綱古腹足目サザエ科。沿岸の岩礁地帯にいて、潜り漁や望潮(見突き)…
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“10回洗えばタイの味”酒を飲むのも忘れるシコ刺しのウマさ
マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの3種が、イワシ属と呼ばれる。幼魚はシラスで、煮干しや目刺しにもなったりする。 多く取れるから、海の米というか、肥料にもされて、おせち料理のひとつ「田作…
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新鮮な「スルメイカ」での極上の塩辛は刺し身の肝和えだ
乾燥させたスルメや塩辛など、スルメイカは保存食として親しまれている。流通機構が発達して、生食の人気が出たころから漁獲量は激減。庶民のイカは、高根の花になってしまった。 それでも、その親しみは…
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味わうなら今 “極上脂肪肝”のカワハギ薄造りとあぶり薄皮
仲間のウマヅラハギに対抗して、カワハギは本カワハギと呼ばれることもある。本ガツオや本マグロも同じで、魚に貴賤はない。 フグ目カワハギ科には29種もあって、ほとんどが南方系。ところが、カワハギ…
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5枚におろした「イシガレイ」 刺し身は有眼側の背身が一等
イシガレイには、ウロコの代わりか、体表に硬い骨質板(石)が並んでいる。石を持つ意味は、本人(魚)も知らないだろう。50センチを超える大魚でいながら、日本各地の沿岸に広く生息する。釣り人気の高さに比べ…