日経プラス10サタデーMCの山川龍雄 社会的弱者を想定して
診断結果は…【可】
夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯が95歳まで生きたら2000万円の不足が生じるとした金融庁の「金融審議会」の報告書は参院選の大きな争点になりそうだ。報告書を受け取らない麻生副総理に、野党は「政権にとって不都合な真実を隠そうとしている」と攻めているが、実は報告書には多様な内容が盛り込まれている。
このジャンルの問題を番組で多角的かつ深く理解しようとすれば、日本経済新聞グループだろうと、15日午前のBSテレ東「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」を見た。MCは「日経ビジネス」編集委員の山川龍雄(53)。京大経済学部卒業後、花王に入社、その後日経BPに転じた異色のキャリアを持つ。報告書に関して番組が提示した論点は①なぜこの報告書が炎上したのか②2000万円不足するのは本当か③安心できる年金制度とは――の3点。とくに集中したのは②。
第一生命経済研究所エコノミストの永濱利廣が「60代の金融資産保有額は平均1849万円で中央値が1000万円。ゼロの人も20%いる」と解説。明大准教授の飯田泰之は「支出のその他には衣服や家事用品が含まれるが、6・2万円はかなり多い」と話した。「年を取っていくほど使わなくなる」という永濱に山川は「確かに使わなくなりますね」と受けながら「心配な部分も。例えば医療費。(患者の)1割負担で持ちますかね」と疑問を投げかけた。議論を深める優れた姿勢である。
ついでに、医療・介護費をどう見積もるか、金融資産がない世帯はどうするのかといった見通しも示して欲しかった。山川は議論を深める手だてはうまいが、日経グループを支える読者や視聴者は高収入世帯。社会的弱者を想定した議論を進めていく視点がもっとあっていい。