クドカンの苦悩告白から読み解く「エール」脚本家降板劇
クドカンが出演したラジオ番組は今年4月8日に放送されたTBSラジオの「ACTION」。そこで、脚本を手掛けているNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」についてこう語った。
〈脚本ができるまでには5段階のプロセスがあるんです。白本→青本→準備稿→内容決定稿→決定稿。こうして脚本は完成するわけです。その間、何度となく時代考証などが行われます。『あの時代にこういう言葉はありませんでした』とか、『こういう文化はありませんでした』とか。明治時代の時代考証、スポーツ考証、熊本弁、浜松弁の考証とか、さまざまな考証が入ってくるのです〉
前出の芋澤貞雄氏がこう言う。
「考証はもちろん大切なのでしょうが、脚本家が苦労して書いた台本がNHKスタッフによって5段階も手を入れられたら原形をとどめない全然別の作品になってしまう可能性があります。駆け出しの脚本家なら甘んじて受け入れるかもしれませんが、林氏やクドカンみたいな一流の脚本家が、そうしたことをされたら怒るのも無理ありません。林氏が降板したことによって、今回は番組スタッフも脚本の執筆に加わるそうですが、最初からそうすればよかったんですよ」
ひょっとしたら、NHKは「脚本家・林宏司」の名前が欲しかっただけかもしれない。そうだとすれば、さらに失礼な話だ。