【追悼】フォークデュオ「風」大久保一久さん 名曲「22才の別れ」にとどまらない唯一無二の世界観
「また一緒にステージをやれるといいね、と話していました。もう一度、一緒にやろうって」
伊勢正三(69)は言葉少なに言って、無念さをにじませた。
「くぼやん」の愛称で親しまれ、フォークデュオ「風」を組んだ盟友、大久保一久さんが9月12日に他界。71歳だった。
構成作家のチャッピー加藤氏が語る。
「大久保さんは伊勢正三さんの重要なパートナーでしたけど、伊勢さんだけが『風』ではなかった、と強調したいですね。シングル6枚を発表した『風』はA面がすべて伊勢さんの曲なら、B面は全曲、大久保さんの作詞・作曲。名曲『22才の別れ』のような叙情的なフォークに立ち止まることなく、アルバムで独自のポップな曲を発表していった。ソロとして、独自の世界を追求したミュージシャンでした」
時代がニューミュージックへと移っていく中、伊勢正三は洋楽指向になっていった。1970年代半ばに出したアルバムでは当時流行のジャズ・フュージョンなども取り入れた、今でいうシティーポップ系の曲も発表しているが、「それも、大久保さんからの刺激があってのものだと思います」と続けた。