<172>「早貴被告に海外に行かれたら和歌山県警は難しいことになります」
■3回の電話でのやりとりは30分に及んだ
この時、公衆電話から計3回連絡があった。約30分のやりとりであるが、これほど詳細な電話は初めてのことである。チクリ主はやくざ者でもなく教養は高い。そしてアクセントに何の違和感もないことから東京に住むものであると想像できた。
察するに早貴被告との間に深いパイプを持っているのだろう。覚醒剤ルートを紹介した者である可能性があると思った。
自分の身元を明らかにできない理由はそれなのかもしれない。記憶が薄れないうちにやりとりを残す必然性があるのでこれを取材ノートに記した。(つづく)