著者のコラム一覧
立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

NHK前田会長の改革に決定的に欠けている「公共メディア」とは何かという議論

公開日: 更新日:

 ここで歴史をさかのぼってみたい。NHKが自ら公共放送と呼び始めるのは戦後のことだ。戦前はNHKの独占状態だった。社団法人日本放送協会だ。戦後、日本がマッカーサー将軍をトップとする占領軍(GHQ)の統治下に置かれ民主化の具体的な制度設計が行われ、放送の在り方が極めて重要なテーマとなる。NHKと当時の日本政府は戦前の延長を求めた。NHKの独占の継続だ。

 私はこの経緯を調べた研究者の論文を読んでいるが、大本営発表を垂れ流してきたNHKが戦後も独占を主張している事実に驚かされた。それを政府も支持するのは、政府が放送を管理することが重要だと考えたからだ。

 その独占が崩れたのはGHQの判断だった。1947年にGHQは民放の開設を発表する。それは同時に、NHKに民主的な放送を行うための組織改編を迫るものともなったが、NHKは戦前の姿を容易には変えていない。新生NHKの内規の第1章には、「放送は、公共性の立場から政府の政策を徹底させることに協力するものである」との一文が記されている。現在はその文章は削除されているが、実態はどうだろうか? 疑問は残る。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動