買春疑惑の天才ピアニストは存在抹消…中国エンタメ界で進む恐怖の“ネオ・文化大革命”
クラシック音楽界3大コンクールのひとつ「第18回ショパン国際ピアノコンクール」で21日、反田恭平(27)が2位入賞。日本人として50年ぶりの快挙に沸いているが、中国では22日、同コンクール優勝歴のあるユンディ・リ(李雲迪=39)が買春容疑で北京の公安当局に拘束され話題になっている。
ユンディは、2000年に史上最年少の18歳でショパン国際ピアノコンクールに優勝。天才ピアニストとして世界の注目を集めた。また甘いマスクから「中国のピアノ王子」「ピアニスト界の羽生結弦」とも呼ばれ、日本でも大人気だった。売春した女性とユンディ双方は事実を認めており、拘束されたことが報じられると中国音楽家協会はユンディの会員資格剥奪の声明を発表。中国のネット上では彼の写真は削除され、モザイクになるなど、瞬く間に“ユンディ消し”が行われ、中国国内では存在自体が消し去られたかのような状態になっているのだ。
見せしめのネット削除
18年に脱税で追徴課税された女優のファン・ビンビン(范冰冰=40)を筆頭に、7月にはEXOの元メンバーで未成年に対する性的暴行で容疑で逮捕されたクリス・ウー(ウー・イーファン=30)、8月には映画「レッドクリフ」「ムーラン」などに出演し、親日騒動が起きた女優のヴィッキー・チャオ(趙薇=45)ら、ネット上から名前が一斉削除。また“不道徳なポップカルチャーが若者を堕落させている”という理由でタレント発掘番組を禁止するなど、政府のアイドル禁止令まで発令されている。中国人ジャーナリストの周来友氏はこう言う。
「中国・習近平政権は“共同富裕”をスローガンに、高所得者を引きずり降ろす姿勢を強めている。一部ではタレコミに対する報奨金制度もあり、見せしめのネット削除など厳罰化が進んでいます。ユンディの件は、双方成人で売春行為は合意の上。罪というより“モラルの問題”の範疇と言えなくもないですが容赦なし。世界に中国人ピアニストの実力を知らしめた功労者だけに『全キャリアを否定するのはいかがなものか?』という疑問の声も上がっています。“富裕層の引きずり降ろし”と“道徳統制”が進むことは、結果的に中国エンタメ界の劣化を招くと危惧されています」
一罰百戒で芸能人としてのキャリアだけでなく存在までも一瞬にして消し去る「ネオ・文化大革命」。中国から逃げ出すアーティストが続出しそうだ。