【第66回有馬記念特別企画】アスリートが語る、アスリートの沸点。
2021年12月26日 暮れの大一番「有馬記念」が中山競馬場で行われる。今年活躍したアスリートたちはどこに注目しているのだろう。
■東京大会 野球 金メダル 菊地涼介「見せてやれ、雑草魂」
「勝って当たり前」と言われる中、出身地の東京で使命を果たすことができた金メダルは、僕の一生の宝物ですね。
競馬の魅力は、馬の引き締まった身体、筋肉、そしてレースのスピード感でしょうか。僕は「午年」生まれで単純に馬が好きなこともあります。有馬記念の魅力は、出走馬がファン投票で決まること。僕もオールスターにファン投票で選ばれることを目標にしながら毎年プレーをしています。締めくくりの大一番という感じでワクワクしますし、有馬記念を見ないと1年が終わりません。
過去の優勝馬で好きな馬は、2000年の優勝馬テイエムオペラオー。この年、最高レベルのレースのGⅠ5勝を含む、8戦8勝の負けなしの快進撃で1年を締めくくったのがすごい。競馬界は血統が重視されますが、テイエムオペラオーは派手な血統ではありません。僕も高校時代は甲子園に出られませんでしたし、アマチュア時代は無名でした。広島という球団もそんな「雑草魂」を大事にする土壌があるので、親近感が湧きますね。
今年応援したい馬は、引退レースとなるキセキです。大ベテランの7歳になってなお、一線級の活躍をしている。僕は来年32歳、11年目のシーズンを迎えます。40歳まで現役でいられるかは分かりませんが、僕も行けるところまで行って引退したいと思っているので、キセキには思い入れがあります。
来年の目標、目指すところはリーグ優勝の奪回と日本一。それしかありません。やっぱり勝たないと面白くない。もちろん、見ている人たちもそうでしょう。ファンの方に1試合でも多く勝ち試合を見せたいですね。
■東京大会 フェンシング 男子エペ団体 金メダル 見延和靖「オールスター終結!」
日本人が一番勝ちにくいと言われていたエペという種目で、そしてさらに難しい団体戦で史上初の金メダルという結果はすごく意味があることだと思います。これは僕一人では成し遂げることは絶対にできませんでしたし、これまでの先人たちが諦めずに挑み続けてきた結果、時代とタイミングといい仲間に巡り会えて獲得できた金メダルだと思います。
競馬には僕自身、あまり詳しくはないのですが、フェンシングと有馬記念には共通点があるなと思っていて。フェンシングにはマスターズという大会があって、ランキングの上位者だけが出場できる格式のある大会なんです。オールスター形式のドリームレースである有馬記念と似ているなと。誰が勝ってもおかしくない大会ですし、出場する全員を応援する風潮もあります。また、ファン投票で出場馬が決まるというのは、見る側、そして参加する側もすごく楽しめて、馬を選ぶところから一緒に参加して応援できるので、すごくワクワクする年末の風物詩にふさわしいお祭りになるなと思いますね。
今回の出走馬の中では、キセキという馬は気になります。7歳となると結構高齢になるのかなと思うんですが話を聞くと最近再び結果が出てきたというか。僕自身もフェンシングを高校から始めて34歳で頂点へと辿り着いた遅咲きというのがあって、諦めずにやってきた根性みたいなのを感じて、応援したくなる気持ちがすごく湧いてきました。
過去の優勝馬では、リスグラシューは自分との共通点を感じます。5歳で急成長し、海外のG1レース、コックスプレートを勝った後、有馬記念を優勝。僕も19年に日本選手初の世界ランキング1位を達成することができ、今年金メダルを獲れた。ただ、まだまだこれで引退するつもりもないですし、40歳を超えて世界の頂点を目指すというところが僕の目標の一つでもあります。
この有馬記念から、明るいムードが続いていけるように東京大会で活躍した多くのアスリートたちを応援いただければと思います。