企業深層研究
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東洋水産(下)創業者は「企業は公器なり」を実践…自分の退職金を「高すぎる」と減額
創業者は(故)森和夫である。森をモデルに高杉良は「燃ゆるとき」(実業之日本社、1990年刊、のちに新潮文庫など)を書いた。 森は高杉の取材の要請を「私のことなんか」と2年間も断り続けた。高杉…
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東洋水産(上)メキシコでは「マルちゃん」がカップラーメンの代名詞
東洋水産の即席麺は日本では「赤いきつね」(うどん)や「緑のたぬき」(天ぷらそば)、袋麺の「正麺」でおなじみだが、メキシコでは「マルちゃん」がカップラーメンの代名詞になっている。カップラーメン市場で約…
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ヒューリック(下)財閥系不動産3社を追いながらも「銀座」にこだわる理由
ヒューリックの前身は旧富士銀行(現・みずほ銀行)の銀行店舗のビルの管理会社、日本橋興業だ。都市銀行は駅直結か駅近くの好立地に銀行の店舗の入ったビルを持っていた。日本橋興業もそれなりの収益を上げてきた…
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ヒューリック(上)37物件を持つ「銀座の大家さん」に業界初の女性執行役員が誕生
「大家さん」と呼ばれる不動産会社が存在する。東京の「丸の内の大家」は三菱地所。日本橋は三井不動産、渋谷が東急不動産。「銀座の大家」がヒューリックだ。 ヒューリックは銀座エリアを戦略上の重要拠点…
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ヤクルト(下)「ヤクルト1000」で黄金時代を迎える 増産投資額は350億円
仏食品大手ダノンは2020年10月6日、保有するヤクルト本社の全株式6.61%を売却した。売却額は600億円規模。ダノンは約20年にわたったヤクルトとの資本関係を解消した。 ■ダノンとの提携は…
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ヤクルト(上)株価1万円の大台まであとひと息 中国での値上げを好感
ヤクルト本社(東証プライム)の株価が1月26日の株式市場で一時、前日比190円(2%)高の9500円まで上昇し、およそ5年ぶりの高値をつけた。1万円の大台まで、あと一息だ。 主要市場の中国で…
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NHK(下)「岸田vs菅」の壮絶バトルの末に決まったトップ人事
NHKの会長は、表向きは経営委員会内に設置される指名部会が決めることになっている。だが、実際は違う。指名部会が開かれる1週間前には永田町や霞が関の根回しが終わっているものなのだ。相前後して報道各社の…
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NHK(上)続投を阻まれた前田前会長の無念…背後にチラつく財界サロン「四季の会」の影
任期満了に伴い退任するNHKの前田晃伸会長(78)が1月10日、会長として最後の会見に臨んだ。 前田氏は、みずほフィナンシャルグルーブの会長などを務めた後、2020年にNHK会長に転じ、1期…
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王将フードサービス(下)事件のキーマン“創業家の次男”はすでに海外へ
「福岡センチュリーゴルフクラブ」は福岡の観光名所で「学問の神様」菅原道真を祭る太宰府天満宮から一山越えた丘陵地に広がる。このゴルフ場が、“事件の黒幕”といわれている上杉昌也氏と王将フードサービスを結び…
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王将フードサービス(上)黒幕とされる人物は関与を否定「王将元社長とは友好的な関係だった」
「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(東証プライム上場)の前社長、大東隆行氏(当時72)が2013年12月19日午前5時45分ごろ、京都市山科区の本社前で殺害された事件で、京都地検は22年11月…
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パーク24(下)カーシェアの次は「空飛ぶクルマ」 JRAの馬主で知られる2代目社長のビッグな夢
パーク24社長の西川光一(58)は日本中央競馬会(JRA)の馬主である。所有馬のカフェファラオは昨年10月10日開催された「第35回南部杯・交流GⅠ」で激戦を制して勝利した。通算13戦7勝。総獲得賞…
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パーク24(上)JOC竹田前会長との関係は16年 社外取締役辞任まで面倒を見てきたことになる
駐車場大手のパーク24(東証プライム上場)は2022年10月26日、日本オリンピック委員会(JOC)の前会長、竹田恒和氏(75)が社外取締役を辞任したと発表した。「本人から申し出があった」と説明。辞…
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オイシックス・ラ・大地(下)火中の栗を拾ってヤケドしないのか
シダックスの経営の混乱は創業家の志太勤一会長兼社長と他の取締役との対立が原因だった。創業家はオイシックス・ラ・大地を招き入れて、経営の主導権を取り戻すことを狙った。 オイシックスの高島宏平社…
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オイシックス・ラ・大地(上)シダックスへのTOBは成立したが…すべてはこれからだ
有機・無添加食品の通信販売会社、オイシックス・ラ・大地(東証プライム)による、官公庁や工場の社員食堂を運営するシダックス(東証スタンダード)へのTOB(株式公開買い付け)が成立した。 筆頭株…
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ENEOS HD(下)杉森会長退任で露呈したガバナンス機能不全 3人の女性社外取締役なぜ沈黙
企業活動において人権の尊重が不可欠となった。政府は9月、企業が取引先を含めたサプライチェーン(供給網)全体で人権侵害を把握し、対策をとるための指針をまとめた。「あらゆる人権侵害を許さない」という、経…
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ENEOS HD(上)突然失脚した最高権力者・杉森務前会長の実力
石油元売り最大手・ENEOSホールディングスの代表取締役会長だった杉森務が、8月12日に突如、辞任を表明した。当初、退任の真相はベールに包まれ、「一身上の都合」としか明らかにされなかった。 …
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ライフコーポレーション創業者・清水信次名誉会長がやり遂げた後継者選び
食品スーパーで売り上げトップクラスのライフコーポレーションの創業者で名誉会長の清水信次氏が10月25日、老衰のため死去した。96歳だった。 ■ダイエー中内氏らと並ぶ第1世代 ダイエーの…
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オーケー(下)会員組織「オーケークラブ」を武器に関西に殴り込み
2022年3月期決算は、売上高が前期比3.2%増の5242億円と35期連続の増収だった。 新型コロナウイルス禍にあっても、20年3月期は10.6%増、21年3月期は16.7%増と、売り上げの…
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オーケー(上)念願の関西初進出の東大阪は激戦区 先発組にとって大きな脅威に
神奈川県が地盤のディスカウントスーパー、オーケー(横浜市、非上場)は「2024年前半をめどに大阪府東大阪市に出店する」と発表した。関西スーパーマーケットの買収のために用意していた700億円が、関西初…
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コクヨ(下)新規事業の創出をテコに脱同族へ 海外比率をどう高めるか
ぺんてるの敵対的買収失敗はコクヨの経営にどのような影響を及ぼすのか。売上高に占める海外事業比率が1割弱の同社にとって、買収の失敗の痛手は大きい。海外比率が6割強に達し、120以上の国・地域で展開する…