スクープドッグ咆哮記「長野青酸ウーロン茶殺人事件」編
-
<第6回>「警察は誰かを捕まえなければ気がすまない」
こけし、いや宇宙人のような風体の男は、仁王立ちで私を睨みつけていた。しかしここでひるんでは負けだ。勇気を出して声をかけた。 「青酸ウーロン茶事件を取材しています。なにか心当たりはありませんか」…
-
<第5回>重要容疑者に浮上した“謎のこけし男”を直撃取材
事件の重要容疑者として浮上しながらマスコミが一切接触できない男。車に寝泊まりし72時間の完全監視の末、ついにチャンスが巡ってきた。出前のうなぎ屋が来たのだ。あとを追ってダッシュすると、店屋物を持った…
-
<第4回>運転シートを深く倒し、双眼鏡で監視を続けていると…
レンタカーで、犯人と噂される男の張り込みを続けて半日が経った。繰り返し訪問するも、在宅なのかどうなのか気配すらわからない。郵便配達員が来ても、誰も出てこなかった。これは時間がかかりそうだと判断し、途…
-
<第3回>「長野には松本サリン事件の教訓がずっとあってね…」
須坂青酸ウーロン茶事件に浮上した30代の男。新聞やテレビでは一切報じられていないニュースだった。県警そばの喫茶店で会った知り合いの記者は、周囲に聞かれないよう小声で話した。 「男がマークされた…
-
<第2回>「3度にわたって厳しい事情聴取を受けている30代の男がいる」
1998年9月1日、長野県須坂市内のスーパー「M」。その店長が変形した缶入りウーロン茶を見つけ、売り物にならないと判断し、みずからが飲むと、すぐに変な味と臭いに気づき、不審物として警察に提出した。 …
-
<第1回>デスクの言葉に青ざめた「警察よりも先に捕まえたらスクープじゃん」
またしても週刊文春合併号の季節がやってきた。ゴールデンウイーク、お盆休み、正月休みの年3回、2週間分をまとめた号を作るのだが、毎度毎度、それ用の企画の取材が恐ろしくつらい。 デスク会議が終わ…