伝統文化の職人たち
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島根県「13年連続日本一」の庭園を守り続ける庭師たち
足立美術館(島根県)の日本庭園は、米国の日本庭園専門誌が全国のおよそ1000カ所を対象に実施した「日本庭園ランキング」で13年連続日本一の称号を手にしている。この日本庭園は、「歓迎の庭」「苔庭」「茶…
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24歳で一目惚れした「井波彫刻」の技術を求め移住を決意
「富山県の伝統文化としてテレビ番組で紹介されたのを見かけてね。これを作りたい、との思いで知り合いをたどりました。師匠の家に布団を送って、有無も言わせず弟子にしてもらったなあ」 こう振り返るのは…
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屋台1台分に半年 日本に数人しかいない「車師」の技術
祭りを盛り上げる彫刻屋台。その車の担い手となる「車師」は日本で10軒に満たない。そのひとりが、江戸時代から続く荷車製造業「乾 樫木工所」(鹿沼市上材木町)の7代目、乾芳雄さん(68)だ。20歳で父に…
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材料の竹を切りに行くことから…100年続く「紀州へら竿」
高野山の麓で竹から作られる「紀州へら竿」は、へらぶな釣り好きにはたまらない逸品だ。地元、橋本市で100年以上続く伝統産業でもある。 「私は材料の竹を自分で切りに行くことから始めます。真竹・高野…
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一人前と言われるまでに20年 日光東照宮の竜の絵を残す
今年12月、ユネスコ無形文化遺産に登録された「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」。彫刻やタイの制作・修理に携わった職人のひとりが「彩色師」の澤田了司さん(67)。今年、高円宮殿下記念地域伝統芸能賞支援賞を受…
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時代に合わせて試行錯誤 加賀友禅「身近に感じてほしい」
江戸元禄の頃、宮崎友禅斎により始められたという加賀友禅。その起源はおよそ500年前、加賀国の染め技法として存在した「梅染」にさかのぼる。梅の樹皮や根から作った染液を、絹や麻布に浸して染める方法で、そ…
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江戸筆は「年間6人ほど修行に来ますが、もって1カ月」
推古天皇の時代に朝鮮から伝わった筆。大量に使われるようになったのが江戸時代で、中期には商人の台頭とともに寺子屋が増え、庶民の間にも筆が普及した。関東大震災や第2次世界大戦で筆職人の多くは東京を離れた…
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「高岡鋳物」の製法を大衆に伝える新しい取り組み
富山県高岡市は、日本の銅器の生産額の95%を占める鋳物の生産地として知られてきた。その起源は、1609年、高岡城に入城した加賀藩主の前田利長が、高岡の町の繁栄のために7人の鋳造師を呼び寄せたことに始…
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各分野の職人の合作 皇族にも愛された仙台の刀箪笥
仙台藩の地場産業として江戸時代末期に誕生した仙台箪笥。武士が刀や羽織を納める生活財だったが、当時の形を残したまま、現在も生産されている。嫁入り道具や祝時の贈り物などの需要があり、20万~400万円台…
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北海道で伝統紡ぐ刀鍛冶 製法の残らない「古刀」を再現
北海道伊達市に刀の製造だけで生計を立てている職人がいる。刀鍛冶、渡辺惟平さん(67)。全国でも“専業職人”は、ごくわずかである。 渡辺さんが45年間作り続けているのは「古刀」と呼ばれるもので…
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島根県奥出雲 「もののけ姫」に描かれた“たたら技術”の町
島根県奥出雲地方で栄えた鉄づくり「たたら製鉄」。日本古来の製鉄法で、炉に空気を送り込む器具・鞴が「たたら(踏鞴)」と呼ばれていたことから由来する。1000年を超える歴史を持ち、現在も操業が続いている…
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高宮布から近江上布へ変遷し生き残る技
室町時代から麻織物の産地として知られる滋賀県の湖東地方。江戸時代には奈良晒や越後縮と並ぶ良質な麻織物「高宮布」の産地として地位を築いた。「高宮布は、江戸時代には彦根藩の井伊家の献上品として、保護され…
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局部から表情まで ユーザーの愛着を生む細部のこだわり
乳房や肌の色つや、植毛、艶めかしい表情は、女性の職人ならではの技が生きている。 ボディーの脱型後、仕上げの作業から発送手前までを行う製造3課には、職人が2人しかいない。 「仕上げ作業の…
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完成まで2週間 ラブドールの細部は女性職人が担当
理想の女性像を映したラブドール。お世話になっている読者もいるだろうか。精巧な技術を持つ日本製ドールは海外ユーザーからの評価も高いが、受注生産で企業秘密も多い。ベールに包まれる工場内には、どんな職人が…
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新潟・燕三条の金型職人が作る「マグネシウム名刺入れ」
伝統的に金属加工の産地として知られる新潟県の燕三条地域。燕市の金属加工は、江戸初期に農家の副業として和釘の生産から始まった。その後、スプーンやフォークなどの金属洋食器に技術が受け継がれ、金属製品の国…
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投影星数10億個超 世界が注目するプラネタリウムの可能性
世界初のプラネタリウムが登場したのは1923年ドイツでのこと。日本製の誕生は、34年後の1957年だ。そして今、日本人のプラネタリウム・クリエーター、大平貴之氏(46)が世界中から注目を集めている。…
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職人として稼げるまで10年。桐生織の着物は絹糸から紡ぐ
「うちは絹100%の糸から自社で作っています。糸の製造から考えると、一反あたり数カ月から半年はかかりますね」 創業明治40年、109年目を迎える泉織物代表の泉太郎さん(52)は言う。 …
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窯元が点在 庶民向け「波佐見焼」を400年も作ってきた町
人々の生活に溶け込んだ和食器に国内外の関心が集まっている。その中でも最近、人気が高まっているのが波佐見焼だ。生まれたのは江戸時代の初期。以来、庶民向けの丈夫な陶磁器を生産してきた。長崎県東彼杵郡波佐…
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異業種から職人へ 新潟県燕市の包丁産業には若手が集まる
伝統産業の職人が減っていくなか、若い職人が育っているのが刃物の街、新潟県・燕三条エリアだ。地域を挙げて工場見学や体験イベントを開催し、若手育成に成功している。 包丁産業で、すべての工程を社内…
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千葉県君津市「雨情楊枝」は武士の内職から生まれた
“一口”に彩を加える。千葉県指定の伝統工芸品「雨城楊枝」は、全国の和菓子店や寿司屋、うなぎ屋などで重宝されている逸品。このデザイン性の高い“高級楊枝”は、君津市の久留里で作られている。江戸時代中ごろか…