“歌う会長”柳亭市馬大いに語る
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<第10回>筋もヤマ場もない「二人旅」の噺をやってみたい
会長に就任したばかりは、追い越された先輩たちの中にはやっかむ連中もいたから大変だったろう。3年目に入り、気を使うこともなくなり、自身が指名した副会長、林家正蔵との正副コンビで協会を引っ張っている。2…
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<第9回>歌謡声帯模写の大ベテラン 白山雅一との思い出
落語家で市馬を可愛がったのが立川談志なら、色物芸人では歌謡声帯模写の白山雅一である。白山は戦後間もない頃から流行歌手の物真似で売れた大ベテラン。市馬と知り合った時はすでに80近かったが、たちまち親し…
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<第8回>懐メロ好きのおかげで立川談志に稽古をつけてもらった
立川流家元、談志は懐メロ愛好家として知られていた。三橋美智也とは個人的に交流があり、懐メロでもメジャーな曲よりマニアックな曲を好んだ。そんな談志が市馬を気に入るのは当然だ。 「家元から『おまえ…
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<第7回>小さんの弟子が邪道に走ったと言われたら申し訳なく…
落語の中に流行歌を入れるのは飛び道具を使ったようなもの。それまで「古典の本格派」だとか「本寸法」と言われていた市馬がやった意外性もあって客に受けた。 「受けると、その快感が忘れられない。次に演…
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<第6回>即興で「お祭りマンボ」を歌ったら大ウケ
1993年9月、柳家さん好は真打ちに昇進、同時に4代目柳亭市馬を襲名する。 「小さん師匠に言われたのは、10人いっしょでよければ抜擢ですぐ昇進させられるが、1人で昇進となると時間がかかる、どう…
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<第5回>海老一染之助・染太郎に教わった笛のおかげで…
1年半の内弟子修業の後、師匠宅の改築を機に通い弟子となり、入門4年で二つ目に昇進した。小幸改め柳家さん好と改名する。 「これまでの人生の中で二つ目になった時が一番うれしかったですね。好きなだけ…
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<第4回>内弟子修業時代…落語と思ったら剣道の稽古だった
柳亭市馬こと右藤泰幸は大分県豊後大野市の出身で、小学生のころから剣道部に入り、中学、高校と剣道一筋の青春時代を過ごした。 懐メロと落語が好きな右藤青年は歌手でなく落語家を志願した。剣道部顧問…
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<第3回>歌番組で五木ひろしと「旅鴉」をデュエット
歌手、柳亭市馬は毎年暮れに懐メロを歌う会を催しているが、これはもともと「市馬落語集」という月例独演会での暮れの特別興行だった。最初は80人も入ればいっぱいの貸席、お江戸日本橋亭で開かれ、伴奏はアコー…
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<第2回>懐メロ好きが高じてレコードデビュー
市馬は落語家以外にもうひとつの顔を持つ。それは「歌手」である。暮れの恒例行事となった懐メロを歌う会は昨年も 大井町きゅりあんホールで催され1000人近い観客を集めた。プログラムを見ると、「憧れのハワ…
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<第1回>史上最年少52歳で落語協会会長に就任
年頭の落語家インタビューに登場するのは、落語協会会長の柳亭市馬師匠である。2014年に当時の会長、柳家小三治の指名を受けて就任した時、52歳という若さと、90人の先輩を飛び越した大抜擢人事に誰もが驚…