追悼・松方弘樹「無冠の男」外伝
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<5>「どんな姿でもいいから芝居がやりたい」
20時間のインタビューが終わったとき、「また何でも聞きに来てよ」と松方は言ってくれた。けれどその約束が果たされることはなかった。 年が明けた2016年2月、松方弘樹は脳リンパ腫と診断され、治…
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<4>鶴田浩二を敬愛 花も実もある役者が評価されないジレンマ
「松方さんほど神経がこまやかで、共演者に目配りができる役者はいません。豪快なイメージは彼の演技だと思います」と野川由美子は私の取材にこう答えた。 20時間のインタビューにおいても、松方はつねに…
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<3>インタビューで繰り返し言った「人間は平等じゃない」
豪放磊落な遊び方や絶えることのない艶聞――松方弘樹には「最後の大物スター」と呼ばれるにふさわしい数々の逸話がつきまとう。しかし、こうした“松方伝説”が、彼の映画への情熱や芝居がうまい役者としての真価…
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<2>悲運の映画人生を持ち前のラテン的陽気さと芸への執念で乗り切ってきた
はじめて松方弘樹の映画を見たのはガラガラの映画館だった。高校の入学式のあとに見た「テキヤの石松」(76年・小沢茂弘監督)も、連休明けに見た「お祭り野郎 魚河岸の兄弟分」(同年・鈴木則文監督)も、高2…
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<1>逝去のニュースが流れた日、まっさきに電話をかけてきたのはひとりの元極道だった
1月21日に脳リンパ腫のため亡くなった俳優の松方弘樹。享年74。その松方が、倒れる2カ月前まで縦横無尽に語ったロングインタビュー「無冠の男 松方弘樹伝」(講談社)が緊急出版されて話題を呼んでいる。日…