倉本聰 ドラマへの遺言
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仲代達矢主演「學」 WOWOWは一生懸命やってくれたのだが…
「歸國」(10年、TBS系)の2年後にWOWOWで放送されたのがドラマWスペシャル「學」(12年)だ。自分が引き起こした事故が遠因となって両親を失った少年、學(高杉真宙)の物語だった。 碓井 パ…
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長渕の芝居が…たけしの起用と併せて悲劇でしたね
倉本 東大の美学といっても、何をやるところか知らなかったですよ。だいたい入学した後は大学にほとんど行かなかったしね。 碓井 演劇にのめり込んでいたから。 倉本 偶然1回授業に出たら、出席簿…
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豪華キャストが嫌でしたね。視聴者の見方が違っちゃう
「歸國」(2010年、TBS系)は太平洋戦争中に南の海で戦死した英霊たちが約60年後の日本に帰還する物語だった。 倉本 原作は棟田博さんの「サイパンから来た列車」という短編小説で、かつてそのタイ…
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「歸國」制作秘話…僕はたけしというのは全く認めない
碓井 「風のガーデン」(08年、フジテレビ系)の2年後に放送されたのが、終戦記念特番と銘打った「歸國」(10年、TBS系)です。TBSでの本格的な倉本ドラマとしては「たとえば、愛」(79年)以来の約3…
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堤氏は「西武では恐れられ過ぎて忖度で成り立つ人物かも」
フジテレビ系で放送された「北の国から」(81年)、「優しい時間」(05年)、「風のガーデン」(08年)は倉本ドラマの〈富良野3部作〉といわれる。その制作に当たっては倉本氏の長年の友人、堤義明氏による…
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今どきは重いテーマをずばりと掘り下げるドラマが少ない
碓井 「風のガーデン」(08年、フジテレビ系)というドラマを医者たちがどう見たのか、ちょっと気になります。賛否両論だったんでしょうか。 倉本 賛否両論っていうより、医者は尊厳死や安楽死の問題につ…
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神木隆之介のピュアな役柄のイメージは映画「レインマン」
碓井 「風のガーデン」(08年、フジテレビ系)は、人生の最期をどう迎えるかという非常に重たいテーマのドラマでした。 倉本 オランダあたりだと安楽死が法律的に認められてるじゃないですか。 碓…
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「不治とか末期になったら延命しないで欲しい」と宣言する
「風のガーデン」(08年、フジテレビ系)の主人公・白鳥貞美(中井貴一)は腕のいい麻酔科医だったが、自身が末期がんで余命が長くないことを知ってしまう。 倉本 旭川に林敏先生という終末医療の専門家が…
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死ぬのが怖くなくなった。最期に苦しむのが嫌なんです
「風のガーデン」(08年、フジテレビ系)の脚本を執筆する前、倉本氏は親しくしていた麻酔科医の岩崎寛氏から多くのことを学んだという。 倉本 がん患者からは、がん臭っていうニオイが出てしまうそうなん…
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「風のガーデン」誕生秘話 ガーデン造りを堤義明氏に提案
碓井 「拝啓、父上様」(フジテレビ系)の翌年に放送されたのが「風のガーデン」(08年、フジ系)です。病気で自分の死期を知った麻酔医・白鳥貞美(中井貴一)が、それまで絶縁していた家族が暮らす、故郷の富良…
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「恋愛は芸の肥やし」で良くなる役者は良くなればいい
碓井 「拝啓、父上様」(07年、フジテレビ系)は東京の神楽坂に住んでいる人たちの物語でした。それまでも「そこに暮らす人たちが見て不自然なドラマではいけない」とおっしゃってましたが、この時はいかがでした…
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メイサ熱で手がけるも…「拝啓、父上様」の自己採点は60点
「拝啓、父上様」(07年、フジテレビ系)が、実は黒木メイサのために書かれたという衝撃の告白が飛び出した。 倉本 彼女のおじいちゃんには日本と中国の血が入っていて、その上がスペインの血が入ってるの…
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純粋に会ってみたかった。黒木メイサのためにドラマ書いた
「拝啓、父上様」(07年、フジテレビ系)の撮影現場で八千草薫や森光子がさりげなく見せた「日本人の作法」に倉本氏は驚いた。 碓井 脚本には2人が対面して挨拶するって書いてあったと思いますが、演技が…
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「拝啓、父上様」で鳥肌立った森光子と八千草薫の女優対決
碓井 「拝啓、父上様」(07年、フジテレビ系)の撮影現場にもいらっしゃったんですか。 倉本 何度か立ち会いました。それで感心したのは八千草(薫)さんと森みっちゃん(森光子)のシーンです。 …
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和と洋が混在した空気 神楽坂を舞台にした「拝啓、父上様」
碓井 「拝啓、父上様」(07年、フジテレビ系)の舞台は神楽坂です。主人公である田原一平(二宮和也)は修業中の板前。しかもこのタイトルですから、視聴者は当然「前略おふくろ様」(75~76年、日本テレビ系…
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女が分かってないから彼岸のものと美しく描きすぎちゃう
碓井 「祇園囃子」(05年、テレビ朝日系)はいわば産業スパイの話で、ミサイル防衛計画まで出てくる男のドラマです。でも、だからこそ十朱幸代さんが演じた祇園の元芸妓のような女性の存在が効いていました。 …
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もしも生きてたら…「祗園囃子」は石原裕次郎に捧げる1本
渡哲也、舘ひろし、神田正輝らが揃って出ていた「祗園囃子」(05年、テレビ朝日系)は、まるで石原プロ祭りのような作品だった。 倉本 今思うと、裕ちゃん(石原裕次郎)に頼まれたけど、結局できなかっ…
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祇園囃子の元ネタは松本清張「一種のパクリいっぱいある」
「優しい時間」(フジテレビ系)と同じ05年、スペシャルとして放送されたのが「祗園囃子」(テレビ朝日系)だった。 碓井 京都の研究所に所属する主人公(舘ひろし)が、ミサイル防衛計画の中心にいた謎の…
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尊敬する人に「3人頭が上がらないやつを持て」と言われた
碓井 かつて山口瞳さんや倉本先生が書いてくださった「新入社員諸君!」の言葉は、直接師事するとかじゃなくても、人生の師の教えとして受けとめていました。 倉本 最近の若い人たちって、権威を嫌うってい…
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仕事はカネになるものだっていう意識は違うんじゃないか
碓井 「優しい時間」(05年、フジテレビ系)では親と子の葛藤、絆、和解などが描かれていましたが、もうひとつ、人間にとって仕事とは何かというテーマもあったように思うんです。仕事って、単に食べていくだけじ…