鑑定士のナイショ話
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バブルになりすぎた買い取り業界は淘汰の時代に
野心的な買い取り会社は、企業買収によって会社を大きくしている。買い取り会社が拡張路線に突き進むには、ジャンルの拡大が必須だ。 海に出たのにイカだけ釣ってきてマグロを見過ごして帰ってきたらモッ…
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スマホの出現で誰もが“査定士”になれる時代
あくまでもイメージ的な話だが、最近の買い取り店では野心的な男性スタッフよりも、コンシェルジュのような女性スタッフが対応することが増えてきた。この背景にあるものは査定のシステム化である。 買い…
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【買い取り店興亡史】脱サラ組が大量参入した時代
ここ数年、街のあちこちに買い取り店が増えた理由は、企業側の思惑や野望だけではなく、脱サラをした人たちに支えられている面もある。買い取り店のフランチャイズは、加盟金や暖簾代を払えば、ある程度自由に儲け…
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【買い取り店興亡史】この業界に押し寄せた中国バブル
リーマン・ショックの後遺症が残る中、2011年には東日本大震災が起きた。しかし、買い取り業者はずっと上り調子だった。宝石店も金とダイヤの価格上昇で業績を伸ばし、リサイクル業者もジャンルを増やしながら…
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【買い取り店興亡史】鑑定会を催したら平日も長蛇の列が!
2008年のリーマン・ショックは、美術業界にも大きな衝撃を与えた。ただ、これで一層、美術品の売りが増えると見込んだ弊社代表の染谷尚人は次々とアイデアをひねり出し、スタッフにも提案を求めた。 …
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【買い取り店興亡史】美術品を売りたい客が急増した時代
今回はわが社の歴史も振り返りながら、買い取り業界の変遷を見ていきたい。 私が本郷美術骨董館で働き始めた2008年ごろ、その当時ここまで多くの買い取り店はなかった。街のいたるところに買い取り店…
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「ウブダシヤ」全盛のバブル末期が懐かしい…買取店の興亡
今週から「買い取り店サバイバル」の興亡史と内幕を書いていきたい。 私が20年前にこの業界に入った頃、美術業界で買い取り業者は、買い取り店ではなく、「買い出し屋」とか「ウブダシヤ」と呼ばれてい…
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われわれ美術商も巻き込まれる買い取り店のサバイバル
「買い取り店」をご存じだろうか。ブックオフやバイセルが大手として有名だが、中小合わせれば結構な数になる。あなたの街にも「宝石やブランドバッグ高値購入」の看板を掲げた買い取り店が1軒や2軒はあると思う。…
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重要文化財候補ラストに「抵抗の画家」松本竣介を推したい
「昭和の重要文化財候補を探せ」として、これまで8人の作家の作品を紹介してきた。最後に松本竣介を登場させたい。竣介は開戦前夜の1940年《都会》という作品で二科展の特待を受賞した。青いトーンで覆われた画…
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嫌がられても「画壇の仙人」熊谷守一は外せない
「昭和の重要文化財を探せ!」シリーズ。今回は「画壇の仙人」と呼ばれた熊谷守一について検証したい。「仙人」と呼ばれることを守一は嫌っていたが、凡人としては「仙人」としか呼びようがない。 とにかく…
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昭和の重要文化財を探せ! 候補作が絞れない小磯良平
昭和を代表する写実的な画家といえば、小磯良平だろう。バレリーナ、大原女など人物画の名手は、洋画壇のエリートだ。 東京美術学校(今の芸大)の在籍中に帝展で《T嬢の像》(初期の代表作)が特選。そ…
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藤田嗣治は王・長嶋ではなくイチロー 活躍の舞台が違う
言うまでもなく藤田嗣治も重要文化財候補のリストに挙がる。梅原龍三郎と安井曽太郎が洋画壇の王・長嶋なら、フジタはイチローである。つまり活躍の舞台が違う。 パリでピカソらと競い励ましあった世界基…
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昭和の重文を探す 梅原龍三郎「紫禁城シリーズ」は最有力
今回は、安井曽太郎とともに日本洋画壇の双璧といわれた梅原龍三郎を検証する。梅原も安井と同じく日本的な油絵を確立した画家である。幼少より同じ画塾で学び、終始競い合った2人でもある。 タイプとし…
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安井曽太郎なら「外房風景」が重要文化財の本命候補
数回にわたって続けている「昭和の重要文化財候補を探せ!」。 もちろん安井曽太郎と梅原龍三郎も候補に挙がる。1952年の文化勲章の受章者であり、洋画家として戦後初めての受章者であるからだ。戦後…
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大阪が誇る画家の佐伯祐三も「重要文化財」の候補だ
昭和初期を代表する画家として、佐伯祐三も外せない。重要文化財の候補だ。 情熱的に狂気的にも描き、30歳で燃やし尽くした生きざまは伝説的だ。この伝説的な画家は多くの収集家や研究者の心をつかみ離…
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古賀春江の「海」も重要文化財候補
古賀春江の《海》は1929(昭和4)年に描かれ、昭和前期の洋画の代名詞でもある。水着姿のモダンガール、飛行船、潜水艦などモンタージュ的に配置され、青を基調に明るい未来へ向かって行くかのような爽やかさ…
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「重要文化財」に一番近い昭和の絵画はこれだ
重要文化財(以下、重文)に指定される昭和の洋画を予想する「重文を探せ!」シリーズ。 まずは一番に岡田三郎助をノミネートしたい。その理由のひとつに、文化勲章を受章していることをあげたい。文化勲…
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「キング・オブ・絵画」の重要文化財…次はどの作品が?
前回まで紹介した画家は、重要文化財(以下、重文)に指定されている画家だった。では重文って、どれほどの物なのだろうか。 文化庁のサイトによれば、2019年時点で重要文化財の指定は絵画が2031…
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萬鉄五郎《裸体美人》って変な絵じゃないですか?
恐れながら申し上げます。 東京国立近代美術館で所蔵している萬鉄五郎《裸体美人》は、この国の重要文化財に指定されています。重要文化財とはわが国にとって不可欠な美術品であります。もちろん最上位に…
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アーティゾン美術館・青木繁《海の幸》は個人宅にあった
今年、「ブリヂストン美術館」は「アーティゾン美術館」に名を変えたが、同館の目玉のひとつが青木繁《海の幸》だ。誰もが知る絵のうちのひとつだろう。 明治末を代表する作品でもあり、重要文化財に指定…