天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
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“裾野”が広がり医師を目指す学生の質が落ちている
3月いっぱいで順天堂医院の院長職を退いて「一教授兼一外科医」に戻り、これからは若手医師の指導や育成にもさらに力を注いでいくつもりです。近ごろ、医師を目指す若い学生の質が落ちていると感じるだけになおさ…
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術後20年を考えると「グラフト」はやはり動脈が優れている
狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の患者さんに対する外科的治療の大きな柱になっているのが「冠動脈バイパス手術」です。細くなったり詰まってしまった冠動脈の代わりに他部位の血管(グラフト)を使ってバイ…
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血液サラサラの薬を飲む患者の手術では「出血」に気を配る
心臓疾患を抱えている人の多くは、血栓ができるのを防ぐために血液をサラサラにする薬を服用しています。たとえば、狭心症や心筋梗塞の患者さんには「抗血小板薬」、人工弁置換術で機械弁を入れた人や、脳梗塞を起…
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積極治療を望まない透析患者にも向き合って説明を重ねるべき
人工透析の中止を選択した女性が死亡した公立福生病院での事例は、限られた地域の中で個人のエビデンスだけに頼る、いわゆる「お山の大将」になってしまった医師が、自分の考えを患者さんに押し付けたことで起きた…
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医師の考えを押し付けて透析中止に誘導するのは許されない
先日、東京・福生市の公立福生病院で医師が患者に人工透析をやめる選択肢を示し、中止を選んだ女性が死亡した事例が発覚しました。ほかにも、同様に透析を受けない選択をした患者は20人に上り、複数人が死亡した…
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ゲノム医療の進歩により患者がふるい分けられる危惧がある
染色体の遺伝子を調べて病気のリスクや体質を判定する遺伝子検査が広まってきました。中でも、検査情報をもとにがんの診断や治療を行う「がんゲノム医療」は、国レベルで推進されています。 心臓疾患の領…
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血栓ができやすいかどうかは「CHADS2スコア」を活用する
血液の塊である「血栓」は突然死の大きな原因になります。たとえば心筋梗塞は、心臓に栄養と酸素を送る冠動脈が動脈硬化などで血管の内側が狭くなり、狭窄している部分の粥腫(硬くなった動脈の比較的軟らかい部分…
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妊娠を希望する女性患者は弁を交換する再手術が必要だった
妊婦がリスクの高い心臓疾患を抱えている場合、病状によっては妊娠の継続をあきらめてもらわなければいけないケースがあることを前回お伝えしました。ですから、心臓疾患のある女性が妊娠・出産を希望されるときは…
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心臓病がある妊婦には諦めてもらわなければならない場合も
心臓疾患に対する治療が進歩したいま、妊娠・出産を希望する女性は増えています。 母体の死亡リスクが非常に高くなる重度の心不全や大動脈弁狭窄症、肺高血圧症といった疾患がある場合は妊娠は勧められま…
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カテーテル治療のマイトラクリップは循環器内科が主導を
昨年9月、東大病院で行われた「マイトラクリップ」という最先端のカテーテル治療を受けた41歳(当時)の男性が亡くなる事故がありました。その患者は拡張型心筋症と僧帽弁閉鎖不全症を抱えていて、心臓の中にあ…
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東大病院のマイトラクリップによる死亡事故で考えられること
昨年末に心臓手術での死亡事故が発覚した京大付属病院に続き、今度は東大病院で死亡事故が起こったことが明らかになりました。 昨年9月、拡張型心筋症と僧帽弁閉鎖不全症を患っていた41歳(当時)の男…
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妊婦が風疹にかかると胎児に心臓疾患が起こりやすくなる
風疹の大流行が続いています。昨年から今年1月中旬までに風疹に感染した人は3000人を超え、厚労省は子供の頃に定期接種の機会がなかった39~46歳の男性を対象に抗体検査とワクチン接種を3年間原則無料に…
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事故を防ぐため改めて手術チームの労働環境を見直す必要が
昨年11月末、京都大付属病院が心臓手術で起こった死亡事故を公表しました。6月に大動脈弁狭窄症だった60代の女性に対して人工弁置換術を実施した際、心臓内に挿入する肺動脈カテーテルを右房壁に縫い込んでし…
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いまや「若いから心臓は大丈夫」とはいえない時代に
心臓病は高齢になって発症することの多い病気です。しかし、いまは「若いから大丈夫」とは言いきれません。20~30代の若い世代でも心臓病を発症することはまれではなく、心筋梗塞や致死性の不整脈で命を落とす…
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薬の進歩と適正使用がヒトの寿命を30年延ばした大きな要因
抗凝固剤、コレステロール降下剤、降圧剤と、心臓疾患と関わりの深い代表的な薬についてお話ししてきました。それぞれ高価な新しいタイプの薬が登場していることで、「薬代の負担が厳しいから古くても効果的な安い…
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降圧剤を自己判断で変更したり中止するのは危ない
心臓や血管にトラブルを抱える患者さんにとって、いちばん身近といってもいい薬が血圧を下げる「降圧剤」です。 70歳以上の2人に1人は降圧剤を飲んでいるといわれていますから、正しい付き合い方をし…
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新タイプのコレステロール降下薬は2週に1度の自己注射で効果があるが
心臓疾患を抱える患者さんに対してよく使われるクスリには、前回取り上げた抗凝固剤のほかに「コレステロール降下薬」があります。とりわけ、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患を一度発症した患者さんにとって…
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抗凝固薬は古い薬と新しい薬では価格差が50倍もある
心血管疾患に対して使われるクスリの中で患者さんもよく耳にするのが「ワーファリン」でしょう。血液をサラサラにする抗凝固薬と呼ばれるクスリで、心筋梗塞や脳梗塞の予防のために古くから使われています。 …
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心臓弁膜症は自覚症状だけでなく生活制限にも目を向ける
有名な絵画、ムンクの「叫び」をモチーフにして心臓弁膜症の検査や受診を啓蒙する公共広告機構のキャンペーンCMが流されています。動悸、息切れ、胸痛といった弁膜症のサインとなる症状を分かりやすく伝える内容…
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眉間のしわが深い人は心臓病リスクがアップするのは本当か
眉間のしわが深い人は心臓疾患で死亡するリスクがアップする――。そんな研究結果が報告されています。フランスの研究チームが約3000人の健康な成人を対象に額のしわを評価し、20年間にわたって追跡調査を実…