「里親と特別養子縁組」林浩康著
「里親と特別養子縁組」林浩康著
生みの親の元で育つことができない子どもは昨年秋の時点で国内に3万3157人、その約25%が里親家庭で暮らしている。一方、特別養子縁組の成立件数は近年500~700件台で推移し、漸減傾向にあるという。
里親や養子縁組した養親の重要な役割に、大切にされる体験を提供して生きる土台としての子どもの自尊心を育むことがある。しかし、里親や養親になる人の多くは不妊や流産などの大きな喪失感を抱えている傾向にあり、それが子どもに対する過度な所有感や期待を強化することもある。成長とともに親の期待に応えることができず子どもは自己否定感を抱え、養親子関係の悪化要因となる。
こうした里親と特別養子縁組という制度の意義や実態、そして課題について実例を紹介しながら解説したテキスト。
(中央公論新社 902円)